日本代表、コンフェデ道中記BACK NUMBER
硬直化したザックジャパン、3連敗。
“雪辱のW杯”に向けて我々も覚悟を。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/06/23 12:35
「ブラジルとの試合ではアプローチを誤った」「イタリアとは互いにハイレベルな試合ができた。体調が良いならこういうプレーができると世界に披露できた」「メキシコ戦ではイタリア戦から疲れが回復していなかった」とコンフェデの3戦を総括していたザッケローニ監督。
我々はいつ“良い内容だが敗北”から解放されるのか?
警戒すべき時間に、マークすべき選手にやられてしまうのは、集中力と想像力の欠如が原因だ。同時に、決めるべきところで決めきれないことが、チームを追い詰める。この試合なら前述した香川の決定機であり、0対1で迎えた60分の前田遼一の一撃も、惜しいで片づけてはいけない。
世界のトップクラス相手にクロスゲームを演じるたびに、「チャンスは作れていた」という前向きな評価が浮上してきた。確かにそのとおりだが、では、我々はいつになったら「チャンスは作れている」という慰めから解放されるのだろう。イタリアやメキシコのようなしたたかさと決定力を選手が身につけるまで、ただひたすらに待つしかないのか。
そうではない。それではいけない。
個人的な皮膚感覚を明かせば、ザックのチームで主力を担う海外組は、クラブより代表のほうが周囲からのプレッシャーが少ないと感じる。所属クラブでは激しいポジション争いがあり、メディアのシビアな評価がある。サポーターのブーイングも容赦ない。激しいまでの勝利への欲求が、ピッチに立つ選手たちの身体に降り注ぐ。
日本代表は対照的だ。サポーターもメディアも、選手の身体を切り刻むようなブーイングや批判は浴びせない。アジア相手の戦いでは視線に鋭さが増すが、対世界となる評価基準が下がる。結果より内容重視へ変わる、と言えばいいだろうか。
大会前から全敗を覚悟していた僕も、間違いなくそのひとりである。
再びCKからの失点……いったい何度同じ過ちを繰り返すのか。
66分に浴びた2点目は、CKからだった。W杯アジア予選から課題にあげられ、イタリア戦でも失点につながったCKから、痛恨の追加点を許してしまった。いったい何度、同じ過ちを繰り返すのか。
決定的なシュートシーンほど分かりやすくないが、もったいないミスはピッチの至るところで見つけることができる。フリーなのにゴールラインを割ってしまうクロスがある。注意力不足が招くファウルがある。丁寧さを欠いたパスがある。そうしたもののすべてを見直し、かつ厳しく問いただしていかなければ、ブラジルを再び訪れる1年後に、我々は同じ現実を目撃するだろう。