MLB東奔西走BACK NUMBER
出場希望プホルスを主催者が不許可!?
WBCの選手選出における日米の落差。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/02/09 08:01
WBCへの途中参加を表明したとされるエンゼルスのアルバート・プホルス選手。一方、昨シーズン終了後に右ヒザの手術をしており、選手の体調を考慮したMLBと選手会が出場を許可しなかったとの報道もあり、出場に関して注目される。
合理的に考えればこの組み合わせしか無い1次ラウンド。
予選ラウンド免除となっている12カ国を4つのプールに分ける際、アジアは日本と韓国の2カ国しか免除国が無いのに1次ラウンドの開催地は日本と台湾なのだから、どうしても欧州か南北アメリカの国をアジアに回さなければならない。
その選考過程で、通常の各国チームの春季キャンプになるべく影響が出ないように(最も危惧されるのが移動距離だ)、できる限りMLB選手が少ないチームをアジアへ回そうと考えるのは当然だ。ならば、MLB選手が1人もいないキューバと他のチームよりMLB選手が少ないオランダをアジアに回したのは、誰でも納得できるはずだ。だから、「キューバを1次ラウンドから日本にぶつけてくるのだから、今回は米国が本気になっている」と思い込むのはいささか深読みし過ぎなのである(実際やや期待外れだった米国代表の候補選手の顔触れを見れば一目瞭然のはずだ)。
“世界一”“連覇”にこだわらず、異なる野球文化を楽しむ姿勢が大事。
事ここに及んでWBCを欠場しろといっているのではない。むしろ選手たちには日本では体験できない別次元の野球を十分に堪能してほしい。ただNPBやメディアはWBCの本来の姿を再認識して正しいスタンスで向き合うべきではないだろうか。ファンも“世界一”とか“連覇”などに捕らわれるのではなく、別のかたちでWBCを楽しんでほしい。
最後にWBC関連で気になった話題をもう1つ付け加えたい。
統一球についてだ。
この1月に多くの日本人選手がLAに自主トレに来ていたのだが、何人かの投手たちと統一球とメジャー球の違いについて尋ねたところ異口同音に「メジャー球は一回り大きく、表面が滑り易い」という答えがいまだに返ってくる始末であった。
改めて統一球導入に至った経緯を思い出してほしい。
2009年のWBC終了後に加藤コミッショナーが、国際試合の度に選手が対応に戸惑うことがないように、国際基準に近いボールに統一すべきだという主旨の発言を行ったことで、一気に統一球導入へと進んでいったはずだ。
確かに打者目線では低反発球になり“飛ばないボール”に変化したのは事実だが、投手目線では相変わらずメジャー球との間に大きな開きがあることが浮き彫りになった。これでは統一球の本来の目的を果たしてはいないだろう。国際試合らしい大会がWBCしかない現状を考えれば、どんどん選手の意見に耳を傾けながら統一球をよりメジャー球に近づける作業を続けていかねばならないのではないか。