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“最後を盛り上げる”ことが最優先!?
「J1昇格プレーオフ」のあり方を問う。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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posted2012/11/10 08:01

“最後を盛り上げる”ことが最優先!?「J1昇格プレーオフ」のあり方を問う。<Number Web> photograph by AFLO

自動昇格と優勝を圧倒的な力で決めたヴァンフォーレ甲府の伊東輝悦。ハーフナー・マイクの穴を助っ人外国人と組織力で埋め、1年でのJ1復帰となる。

一発逆転というエンターテインメント性は十分だが……。

 1位のペスカーラは勝ち点83、2位のトリノも同83で自動昇格。3位のサッスオーロと4位のベローナの勝ち点差が2しか離れていなかったため、規定に沿って5位バレーゼと6位サンプドリアを加えたプレーオフが行われた。3位サッスオーロと6位サンプドリアの間にはなんと13もの勝ち点差があったが、このプレーオフを制したのは他でもないサンプドリアである。ちなみにプレーオフ決勝の相手は、5位のバレーゼだった。

 エンターテインメントとしての魅力は十分だ。13もの勝ち点差を文字通りの一発逆転でひっくり返すのだから、そこに特別なドラマがあることは間違いない。おそらくJリーグも、J2というリーグそのものを活性化させる一つの手法として同様のシステムを採用するに至ったのだろう。

何のためのリーグ戦か、何のためのエンターテインメントか。

 しかし、すべての改善策の目的が「リーグ全体のレベルアップ」にあることを忘れてはならない。近年、Jリーグはクラブ数を着実に増加させてきたが、その結果として生まれたのは決してハイレベルとは言えない実力の均衡であり、危うい経営状態を抱えたまま“我慢”を続けるクラブの増加である。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)で結果を残せなくなっていること、名門と称されるクラブがJ2降格を経験すること、さらにJ1が“本命不在”のリーグになりつつある現状も、おそらく無関係ではないだろう。

 もちろん、次々に改善策を打ち出す柔軟な姿勢は持つべきである。しかし、その目的が一時的なものであってはならない。目指さなければならないのは、しっかりとした基盤を作り、着実なレベルアップを図ること。そう考えると少し、20年目のJリーグは急ぎ過ぎている気がしてならない。

 J1昇格の残り1枠を懸けたプレーオフは、果たしてどのような結末を迎えるのか。何のためのリーグ戦か、何のためのエンターテインメントかという問いを頭の中に入れながら、その行方を見守りたい。

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