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マガト監督に“干された”長谷部誠。
折れない心と代表へ懸ける意気込み。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/10/12 10:30
開幕からの全試合で、ベンチ入りさえかなわない状態にある長谷部。スタンドからヴォルフスブルクの試合を観戦する光景も……。
想像していた最悪のシチュエーションが現実に……。
長谷部は移籍を画策したときに、移籍が決まらなければリザーブチームでの生活を余儀なくされる可能性があることも最悪の事態として想定していた。
「実際のところ、こういうことになるとわかっていたわけじゃないけど、こういう可能性があるというのはね……。まぁ、細かいことは話せないけど、その移籍の話をしているときに、最悪、ここに残ることになったシチュエーションは、ある程度は想像できたというか……。そういった意味では、それが現実になっているといえばなっているわけだから。まぁ、“アマチュア(2軍にあたるリザーブチームのこと)”に行かされていないだけ、いい方なのかもしれないしね。それくらいの覚悟をもって、この夏は、そういう話をしたから。だから、自分の中では後悔はない」
それでも長谷部の心からポジティブさは消えていない。
ただ、難しいのは、他の選手と同様にトップチームで試合に出るチャンスがありながら、いっこうに声がかからないことだ。長谷部も心境を吐露する。
「気持ちの部分では、自分のやることをやるしかないというスタンスでしかないから、そこはもうクリアになっている。でも、練習でアピールして、監督からいくら『グット!』って言われても、使ってもらえない現状はあるからね」
しかも、チームの調子が良くてメンバーを入れ替える必要がないということでもなく、リーグで下から2番目となる17位に甘んじている状態なのだ。スタメンを含めたメンバーの入れ替えを必要としている事態にありながら、長谷部にチャンスが回ってくることもない。つまり、現時点ではゴールのないマラソンを走っている状態に近い。ただ、今は短期的な目標を置くつもりもないという。
「凄く哲学的なことを言えば、自分にとっては良い経験とは言わないまでも、これが経験になって、次につなげればいいと思っているし。もちろん、そういうのを示していくのはこれからなんだろうけど。だから、こういう状態に置かれていることを意味あることにするために、出来ることをしっかりやることが一番大事かなと思っています」