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<ACミラン伝説の名将に聞く> アリゴ・サッキが明かすCL連覇の条件。
text by
クリスティアーノ・ルイウCristiano Ruiu
photograph byAFLO
posted2012/04/23 06:01
ライカールト、フリット、ファンバステンのオランダトリオに若きマルディーニの姿も。まさに黄金時代の陣容。
ゾーンプレスを携え、グランデ・ミランを率いたサッキは、
CL2連覇を成し遂げた最後の監督でもある。
バルサの20年前に新たな価値を創造していた名将が、
ヨーロッパを席巻した“サッキイズム”の真髄と
過酷な戦いを制覇し続けるための方法論を語る。
CL2連覇を成し遂げた最後の監督でもある。
バルサの20年前に新たな価値を創造していた名将が、
ヨーロッパを席巻した“サッキイズム”の真髄と
過酷な戦いを制覇し続けるための方法論を語る。
欧州と世界を2年続けて制覇した私のミランを振り返るとき、真っ先に頭に浮かぶのはあの時代に生まれ、いまや都市伝説と化したひとつの逸話だ。その真実を知ることで、いわゆる“サッキイズム”の実態とCL連覇の秘訣を理解してもらえると思う。
'90年の初夏、イタリアのサッカー界に私に関する噂が駆け巡った。
――アリゴ・サッキはクラブ首脳陣に史上最強のFW、マルコ・ファンバステンの放出を強要し、できなければ辞任すると迫った――
結論から言えば、これは単なる作り話だ。ベルルスコーニ会長にアプローチしたのは事実だが、その内容は噂とは似て非なるもの。私はこう言ったんだ。
「欧州2連覇を成し遂げた今、残念ながら多くの選手が勝利への欲望をなくしている。自信は慢心に変わってしまい、これまでのようにハードな仕事を受け入れようとしない。ならば変えるしかない。選択肢はふたつ。新たなモチベーションを与えられる監督を招聘するか、あるいは大半の選手を入れ替えるか。後者の場合、それがたとえ世界最高の水準にある選手でも放出をためらってはならない」
この“世界最高の水準にある選手”が、誰かによってファンバステンに置き換えられた。それが都市伝説の真実だ。