日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ザックジャパン、予選の戦術再考か?
ウズベク戦ドローから見えてきた課題。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2011/09/07 11:45
「次はホームで戦えるので、あまり勝ち点3を取れなかったからと考えずにやっていきたい」(遠藤)、「3次予選の6試合の中で今日のアウェーが一番難しい試合だと思っていました」(長谷部)、「パスサッカーが自分たちのサッカーということに、こだわらなくてもいいのかなと思っています」(岡崎)
阿部から清武に代え、同点ゴールも生まれたが……。
「フィールドを広く使われてしまって、こっちの1人ひとりの距離が遠くなってしまった」(長谷部)
「チームとしてボールの取りどころが良くなかった」(阿部)
指揮官はこの状況を打開するために、阿部をアンカーにして長谷部を下げて4-1-2-3にチェンジさせる。ディフェンスラインとボランチの間のスペースをケアし、長谷部と遠藤の距離を近づけることで攻撃の組み立てを図ろうとした。これにより前半の終盤で盛り返せたことが、後半につながった。
後半に入ると指揮官は阿部に代え、清武弘嗣を投入する。ウズベキスタンのペースが落ちたため、清武の機動力は活きた。そして後半20分、内田篤人のクロスに、ファーサイドで待っていた岡崎慎司がダイビングヘッドで合わせて同点ゴールを挙げる。相手の足も鈍り、ここからが日本ペースかと思われたが、結局は一進一退の攻防が最後まで続くわけである。
パスサッカーにこだわった末のドローは、何を意味するのか?
前半押されながらも後半に入って盛り返したことは素直に評価できる。ホームということでウズベキスタンの気合の入り方は半端ではなく、このチームを力でねじ伏せろというのは酷な話だ。
だが、十分に勝てた試合でもあった。
ウズベキスタンのディフェンスはクロスへの対応など雑な部分も少なくなかったからだ。
この日も日本はパスサッカーにこだわった。サイドに出して、アーリークロスという狙いも見えた。しかし、ミスパスからカウンターを受けることもしばしば。5cmほどもあった深い芝では、お互いにパスの感覚がなかなか合わなかった。
ザッケローニはこう振り返る。
「相手のペースが緩んで、後半はキープして回し始めることができるようになった。日本はスピードがあるなかで持っている技術を活かすことができるのだが、この芝では特徴を出すのが難しかった」
日本の武器であるパスサッカーへのこだわりは持って然るべき。ただ、ピッチ状況などを考えたうえで、やり方をアレンジする必要はある。