野球クロスロードBACK NUMBER
日本ハムが繰り返す“負の歴史”。
梨田監督退任報道で考えたこと。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/09/07 12:20
今季、ソフトバンクと共に“2強独走”態勢を築いてきた日本ハムだが、梨田監督の退任報道後に失速し、9月6日には今季ワーストタイの5連敗。ダルビッシュでも負の流れを止めることはできなかった
Aクラスを維持する中日の安定した強さの秘密とは?
'97年にナゴヤドームを本拠地とすると、ナゴヤ球場時代の“恐竜打線”は鳴りを潜め最下位となったが、翌年、機動力野球に転換したことで2位。新たな力に自信を得た'99年にはリーグ制覇。以後、星野仙一から山田久志、落合博満と指揮官が変わろうとも戦術にブレはなく、'00年代はリーグ優勝2回、日本一1回。さらには、'01年を除き毎年Aクラスを保持するなど、安定した強さを示している。
このようなシステムの重要性を、ある中日OBはこのように語る。
「監督よりも選手のほうが長くチームにいるわけですから、監督が代わるたびに戦術も変わるようでは選手も少なからず戸惑うでしょうし、何より新しいスタイルが浸透するまでに時間がかかる。その点、戦術が一貫していれば選手も自分がすべきことを把握しているわけですから、控えでもすぐに試合に順応できる。野球のスタイルにブレがないチームは、必然的にいい結果に繋がってくるものなんです」
誰が次期監督になっても「常勝の看板」を保つために必要なこと。
つまり、梨田監督の柔軟な指導力が日本ハムを常勝軍団へと昇華させたのだ。
しかし、残念ながら、梨田監督の退任はほぼ決定的と言われている。次期監督候補として、野球解説者の栗山英樹をはじめ、ヒルマン政権時代の参謀役だった現横浜二軍監督の白井一幸、はたまた新庄剛志など意外な名前も挙がっているが、来季、誰が監督になろうとも個人的に求めたいのはただひとつ。それは、梨田野球の継承だ。次期監督もチームが掲げる野球を踏襲し進化させなければ、これまで築き上げてきた常勝の看板を失いかねない。
日本ハムが北の大地で花を咲かせた機動力野球は、選手のため、チームの未来のためにも決して形骸化させてはならないのだ。