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来日ブラジル人記者、驚く「平日昼に!浦和サポはブラジル人以上だ」日本人が知らない“J1~J5探訪”の本音「レベルは…世界もそうだけど」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2024/04/12 11:01

来日ブラジル人記者、驚く「平日昼に!浦和サポはブラジル人以上だ」日本人が知らない“J1~J5探訪”の本音「レベルは…世界もそうだけど」<Number Web> photograph by Tiago bontempo

JリーグどころかWEリーグなども観戦したチアゴ・ボンテンポ記者(左)。平日昼の試合にも詰めかける浦和サポーターの熱狂度にビックリしたらしい

「3月27日、浦和駒場スタジアムでWEリーグの浦和レッズレディース対アルビレックス新潟レディース。平日である水曜日の午後2時からの試合だったのに、浦和のファンが大勢スタンドにいて驚いた。『仕事よりも家族よりも浦和の方が大事』、とか『仕事を休んで見に来た』という人がいて驚いた。ブラジル人以上、という気がしたよ(笑)」

――これまで見た試合で最も印象に残った選手は?

「浦和のスウェーデン人MFサミュエル・グスタフソン。私が見たどちらの試合でも、攻守両面で素晴らしいプレーをしていた。日本人選手では、MF荒木遼太郎(FC東京)が絶好調で、ゴールを量産しているね。テクニックがあり、視野が広くて非常に才能がある選手だと思うけど、近年、鹿島アントラーズでは出場機会が減っていた。FC東京へ期限付き移籍して以来、素晴らしいプレーを見せているね。

 南葛SCの奥原(零偉)は僕が見た試合でハットトリック。そのうちの2点は、ペナルティエリアの外からゴールの隅へ突き刺したゴラッソ(スーパーゴール)だった。ブラジル人選手では、3月17日の浦和戦で2得点をあげたFWルキアン(湘南)が良かった。ストライカーらしく、抜け目がなかった」

日本代表で懸念しているのは「アジア8.5枠」

――日本代表を取り巻く現在の状況とこれから2026年W杯までの道のりをどう考えていますか?

「現在のサムライブルーは、2022年W杯でドイツ、スペインを撃破した頃と比べるとまだ完成度が低い。でも、才能豊かな選手は大勢おり、今後、2026年W杯アジア予選を戦う過程で次第に完成度を高めていくと思う。ただし、W杯の出場国が前大会の32から48へ増え、アジアからの出場枠も激増した(注:前大会は開催国カタールを含めて5.5だったのが、8.5へ増える)ことが、日本にとっては危険なのではないか。

 これまで、W杯アジア予選でかなり危ない状況に追い込まれながら何とか突破し、W杯ではアジア勢の中で最高の成績を残す、ということが続いていた。でも、今回の予選はアジアからの出場枠が増えたから、あまり苦労せずに突破できる可能性が高い。それが災いして危機感が乏しく、チームとしての完成度が低い状態でW杯を迎えることを危惧している」

日本代表の中核が若くして欧州に渡るのでレベルは…

――あなたは2019年に初来日した際にもJリーグのかなりの試合を見ていますが、当時と比べて日本のフットボールは順調にレベルアップしていると思いますか?

「ブラジルも含めた世界的な傾向なんだけど、日本でも優れた選手が若くして欧州へ渡る傾向にある。そのため日本代表の中核を成す選手の多くが外国へ出ており、あまりレベルが上がっていないように思う」

――ただし、日本では欧州で活躍した代表クラスや元代表クラスの選手、たとえばかつて欧州で活躍したCF大迫勇也、FW武藤嘉紀(いずれもヴィッセル神戸)、右SB酒井宏樹(浦和)、SB長友佑都(FC東京)、MF香川真司(セレッソ大阪)らがJリーグへ戻ってきて、それぞれ活躍しています。

「確かに、それはブラジルや南米ではあまり見られない傾向だ。これに関しては、とてもいいことだと思う」

 第2回では、日本のサポーター・ファンの応援ぶりへの率直な感想を聞き、ブラジルのサポーター・ファンと比較してもらった。<つづきは第2回

#2に続く
「ウラワの熱さは良くも悪くも…」日本通ブラジル人記者が語る“Jサポはやさしい説”「カシマはジーコ像、ベガルタは聖闘士星矢も最高だ」

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