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「大谷翔平には“国籍”を感じない」韓国ベテラン記者が率直に明かす「大谷翔平と日本野球への評価」「韓国と日本、なぜ差がついた?」

posted2024/03/24 11:05

 
「大谷翔平には“国籍”を感じない」韓国ベテラン記者が率直に明かす「大谷翔平と日本野球への評価」「韓国と日本、なぜ差がついた?」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

韓国球界で長年取材を続けてきたベテラン記者も絶賛する大谷の存在。日本球界と韓国球界の比較についても言及が…

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崔敏圭

崔敏圭Choi MinGyu

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Nanae Suzuki

 3月20日、アメリカ本国に先駆けて一足早くソウルで幕を開けたMLB公式戦「ドジャース対パドレス」。一体、韓国の野球記者はあの開幕戦をどのように見たのか。長年、韓国で野球取材を続ける韓国野球学会理事の崔敏圭氏が「大谷翔平への評価」と「日韓野球の比較」について率直に綴った。(訳:朴承珉、全2回の第2回/初回はこちら

大谷登場以降「韓日戦は1勝5敗」

 韓国スポーツは1960年代の軍事クーデター後、国家主導で発展してきた。学生選手の育成において学業を度外視し、運動能力の向上だけにこだわった結果、様々な成果を上げたが、副作用も大きかった。韓国が発展途上国を脱して先進国の仲間入りを果たした時点から、このようなスポーツシステムが果たして正しいのかという反省が広がった。

 以後、学生スポーツでは漸進的に最低学力制の導入、正規授業履修の義務化など変化が起きた。しかし、学生時代を終えても競技続行を望む選手がいる。高校生の選手はプロに入ったり、特待生として大学へと進学するが、それができなければ、選手としては事実上の「落伍者」になる。韓国にも人格が立派な指導者と選手はいる。だが、結果至上主義が支配する今のシステムで良い人が出てくる確率は高くないだろう。大谷翔平を育てた日本の学生スポーツのあり方は、これまでの韓国スポーツの現実と対極にあると見ることができる。このコントラストによって、大谷は韓国のスポーツファンにより明るく映るのだ。

 大谷はさらに強くなった日本野球を象徴する存在でもある。2000年から2009年まで、両国代表のトップチームが対戦した五輪、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、プレミア12大会14試合で、韓国は日本に8勝6敗で優位だった。しかし、大谷が登場した2015年以降は1勝5敗だ。大谷一人だけのせいではない。

代表レベルでさらに広がった「韓日格差」

 今の韓日野球格差を端的に示す数値がある。2014年の韓国プロ野球で投じられたフォーシームファストボール(日本ではストレート)の平均球速は時速141.0kmで、同時期の日本プロ野球の時速141.5kmとほとんど差がなかった。ところが、昨年は韓国が時速143.8km、日本が時速146.6kmで、ほぼ時速3kmの差があった。

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