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高校中退した17歳がプロ野球で圧倒「球が速すぎた」あのピッチャーが2位…松坂大輔でも島袋洋奨でもない「センバツ史上最強投手」は誰? 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/04/01 11:00

高校中退した17歳がプロ野球で圧倒「球が速すぎた」あのピッチャーが2位…松坂大輔でも島袋洋奨でもない「センバツ史上最強投手」は誰?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

センバツ甲子園「史上最強投手」は誰か?(写真は今春センバツの優勝投手、健大高崎の佐藤龍月)

じつはスゴかった…大阪桐蔭エース

5位 菊池雄星(花巻東/岩手) 32ポイント
各項目の結果:奪三振率9.23(8位)、被安打率5.63(5位)、防御率0.68(5位)、WHIP0.90(6位)

 現役メジャーリーガーの菊池が5位にランクイン。2009年センバツで準優勝した菊池は、決勝までの5試合を通じて4項目すべてで8位以内という安定した投球をみせた。初戦の北海道・鵡川戦でいきなり152キロを記録。9回一死まで無安打の快投で12奪三振完封。続く明豊戦でも12奪三振で完封と好スタートを切ったが、決勝の清峰戦では7安打4奪三振と、連投の疲労から数字を下げた点が惜しい。

4位 前田悠伍(大阪桐蔭/大阪) 36ポイント
各項目の結果:奪三振率13.24(3位)、被安打率5.71(6位)、防御率0.78(6位)、WHIP0.779(5位)

 2022年のセンバツは2年生にして優勝。23年はベスト4。分厚い選手層を誇った大阪桐蔭は、22年は4投手、23年は2投手による投手分業制で勝ち進んだ。ランクインしたほとんどの投手が、ほぼ全試合を一人で投げ抜いていたのに対し、条件的に有利な点はあったが、奪三振率13.24の3位はただ者ではない。ドラフト1位でソフトバンクに入団して今季1年目、日本のエースへの飛躍を期待したい。

3位 水野雄仁(池田/徳島) 40ポイント
各項目の結果:奪三振率8.60(12位)、被安打率3.80(2位)、防御率0.00(1位)、WHIP0.56(1位)

 1982年夏、83年春を連覇して“甲子園史上最強チーム”の候補に挙がるほどの強力チームのエースで4番だった。特に83年センバツでは、初戦の帝京を11対0、2回戦の岐阜第一を10対1、準々決勝の大社を8対0と圧勝し、エースの水野が決勝までの5試合を失点2、自責点ゼロで投げ抜いた。

 野手のようなコンパクトなフォームからポンポンとストライクを投げ込み、防御率0で同ランキング1位。被安打率も3.8で2位。1試合当たりの四球数もわずか1.2で、当然WHIPも1位というずば抜けた成績である。一方で、奪三振率のみ8.60と12位に沈み、これが1位との明暗を分けた。決勝までの5試合で計34得点という強力打線の援護があったためか、三振を獲るピッチングは封印していた印象がある。

【次ページ】 2位は「高校を中退した」伝説的投手

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