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「高校時代はマネージャーでしたが」慶応大・女性チーフアナリストが笑顔で語る“やりがい”「主将だった兄に“野球経験がないのがいい”と」

posted2024/03/11 17:01

 
「高校時代はマネージャーでしたが」慶応大・女性チーフアナリストが笑顔で語る“やりがい”「主将だった兄に“野球経験がないのがいい”と」<Number Web> photograph by Kou Hiroo

慶応義塾大学野球部でチーフアナリストを務める福井みなみさんに話を聞いた

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Kou Hiroo

 2023年、高校、大学ともに日本一になった慶応義塾。今シーズンは大学野球部のデータ部門を取りまとめるチーフアナリストに福井みなみさんが就任したという。果たしてどういう人なのか? さっそく会いに行くことにした。

ジャグ、おにぎり…選手のためにできたことはあったか

 福井さんは、大阪府豊中市の出身。橋下徹弁護士、有働由美子アナウンサーなどを輩出した名門の大阪府立北野高校から、慶応義塾大学に進学した。

「高校時代は野球部のマネージャーで、ジャグ(飲料)を作ったりおにぎりを握ったり、普通のマネージャーの業務だけでした」

 こう切り出した福井さんは高校時代に感じた思い、そして大学進学後に得た野球への新たなモチベーションについてこう明かす。

「北野高校はそれほど強くなかったけれど『21世紀枠』での甲子園出場を目指していました。でも最後の夏は3回戦に勝ったけど、4回戦で負けました。選手のためにできたことっていうのは割と少なかったなというのが率直な感想でしたし、大学ではマネージャーはやらないと思っていました。ですが、大学野球をしている兄から『アナリストという部門がある』、『高校のマネージャーと違って、データを使うことでチームの勝利や、選手の成長に直結するサポートができるよ』と言われてやろうと思いました」

 福井さんの長兄・慎平は広島の尾道高校を経て亜細亜大学でプレー。さらに次兄の章吾は、大阪桐蔭高の3年時には捕手・主将として春の甲子園で優勝。その後、慶応義塾大学に進んで大学でも主将として優勝を果たし、現在は社会人のトヨタ自動車でプレーしている。福井章吾は大阪桐蔭・慶応大と「史上最高のキャプテン」と言われた名選手だった。3歳上の次兄のアドバイスは説得力があったはずだ。

 両親としては末っ子を関東の大学にやることには多少の懸念はあったはずだが、「大阪から慶応に行くことに親が賛成してくれたのは、次兄が4年生でいたからです。一人暮らしも、兄がいるから大丈夫だろう、と」送り出してくれたという。

アナリストとして、どんな活動をしている?

 福井さんは2021年入学だったが、ちょうど新型コロナ禍のさなかだった。当時の学業と野球部での活動をこう振り返る。

【次ページ】 入部したときに「データ講習」を実施しています

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