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WBCで“日本のスナック菓子を愛した”あの米記者が本音…佐々木朗希を生で見たリアル評「“フォームに懸念”のアメリカ報道も」「ヤマモトは…」 

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マイケル・クレア

マイケル・クレアMichael Clair

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posted2024/02/27 11:03

WBCで“日本のスナック菓子を愛した”あの米記者が本音…佐々木朗希を生で見たリアル評「“フォームに懸念”のアメリカ報道も」「ヤマモトは…」<Number Web> photograph by Getty Images

昨春のWBCで来日、マイケル・クレア記者が語る佐々木朗希と山本由伸の評価とは

由伸の現地評「千賀より上」「小柄な体躯」

 一方の山本は卓越した投球術で、NPBのMVPと沢村賞に2年連続で輝くという離れ業をやってのけた。あるスカウトはNYポスト紙で、あの“悪名高き”ゴーストフォークで相手を幻惑しているメッツ千賀滉大より山本が「一枚上」と主張している。さらに「彼には日本で証明すべきことが残っていない」と語り、「腕の運び、フォームがよく、スタミナもある。97から99マイルくらいスピードも出せるし、スプリットまである。速球を完璧にコースに投げ分けられる。千賀より上で、投手に必要な要素が揃っている」と絶賛した。

 山本の不安点は、MLBに多いインクレディブル・ハルクのような選手と小柄な体躯で渡り合えるかどうか。メジャー球団が求めるエース像――ローテーションの頭を任せられ、32試合前後に先発し、11月前半までつづくシーズンを全うする――を体現できるか。じつは昨季、178cm、80kgという山本と同等の体格でメジャーのマウンドに立った投手はわずか3人。うち2人はいわば“敗戦処理”で登板。1人はツインズのロニー・ヘンリケスで11回2/3を投げたが、今季はメジャーで出場していない。

 もちろん、小柄な投手が成功したケースもある。180cmのティム・リンスカムは背中からボールを運び出すようなフォームで、サイ・ヤング賞を2度獲得した。同じく180cmのペドロ・マルティネスもメジャー史に残る3シーズンを送った。そしてどこか山本を思わせる投球スタイルだった。

サイ・ヤング賞を穫れるか?

 再び問う。佐々木と山本はサイ・ヤング賞を獲得できるだろうか。もちろん可能性はある。2人を欲しがらないチームは存在しない。美しいフォームで、されど相手にすればムカつくほどいやらしい投球をするのだから。

 メジャーに順応する必要はある。文化も、野球そのものも違う。それでも若き2人の未来は無限に広がっている。“いい賭け方”は偉業を信じるほうにある。その結果、第一印象が過大評価に終わることもあるだろう。だが、時としてこんなケースもある。第一印象そのままだった、と。

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