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プロ野球界の大問題「獲る球団・獲られる球団の2極化」「じつは移籍しづらい」選手会に直撃“どう変えたい?” メジャー流FAには「反対」

posted2024/02/16 11:07

 
プロ野球界の大問題「獲る球団・獲られる球団の2極化」「じつは移籍しづらい」選手会に直撃“どう変えたい?” メジャー流FAには「反対」<Number Web> photograph by KYODO

日本プロ野球選手会の会長を務める會澤翼(広島)

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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 個人事業主(選手)と雇用者(球団)の待遇改善交渉などを行い、ほとんどの日本人選手が加入している組織、日本プロ野球選手会。今オフ物議を醸した人的補償、球界スター選手の脱退に対する選手会の本音とは。会長・會澤翼氏(広島)、事務局長・森忠仁氏、顧問弁護士・松本泰介氏がロングインタビューで語った。第3回は「プロ野球界の問題点」について。〈全3回の3回目〉

◆◆◆

 佐々木朗希はキャンプ入り直前にロッテとの契約を更改したが、球団との間でメジャー挑戦をめぐっての話し合いが長期化していた。

 ロッテ・松本尚樹本部長が「彼がごねたわけではない」という大人の姿勢を見せたことで一件落着したが、この問題は今後の野球界にとって大きな意味を持つ。昨今、メジャーを志望する選手が後をたたず、プロ入り前からその夢を抱く選手も少なくない。佐々木麟太郎(花巻東)のように米大学(スタンフォード大)に留学するという道を選ぶ選手も出てきた。今後、佐々木朗希がどのような形で海を渡るかは日本プロ野球選手会の動きと合わせて注目されるだろう。

自由に移籍できない「保留制度」

 メジャー挑戦を志す選手と球団の間にある問題は、入団時の統一契約書に起因する。日本のルールでは統一契約書に一度サインをすると、球団の“保留者名簿”に載り、FA権を取得するまで選手は実質的に移籍の自由がない(保留制度)。ポスティングシステムはそうしたルールの中で特例的に設けられたが、現在、選手会が検討しているのも、この「保留制度」にまつわるものだ。

「選手会の方では意見はまとまってきています。保留制度についてはゼロベースから考えていこうということで一致しています」

 會澤翼会長はそう語る。当然、この問題はFA権の取得年数にもつながる。

 これまでのルールでは高卒選手は8年、大学・社会人卒は7年の一軍経験日数が必要になるが、プロ野球選手会は期間の短縮を求めている。一方で、FA取得年数が早くなると、海外移籍のタイミングも早くなる。それは球団側が納得しないのではないか。

【次ページ】 FA取得年数の短縮を求める理由

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