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トルシエも失望「板倉滉を使い続け…実に奇妙だ」「森保がもっと介入すべき」イラン戦敗因は“自滅”と旧知の記者に斬り捨てたワケ 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byMasashi Hara/Getty Images

posted2024/02/06 17:55

トルシエも失望「板倉滉を使い続け…実に奇妙だ」「森保がもっと介入すべき」イラン戦敗因は“自滅”と旧知の記者に斬り捨てたワケ<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

アジア杯ベトナム代表を率いたトルシエ監督。イラン戦で敗北を喫した森保ジャパンについて忌憚のない意見を口にした

「いくつか挙げられる。選手はクラブやリーグのことが頭にあり大会に集中できない。伊東の事件もチームに影響を与えただろう。大会の準備に関しては、チーム内のことなので私はうかがい知れないが、軋轢やトラブルがあっても不思議ではない。

 それまでの親善試合と比べて、この大会の日本は大人しすぎた。昨年の活発さが感じられなかったし統一感や連帯感も、選手の献身もなかった。選手はただ自分たちのテクニックを発揮し、個の力を示そうとするばかりで、チームとしての方向性がまったく感じられなかった」

もちろんそこには森保の責任もある

――イラン戦に限らず、この大会の日本は全体に受け身の印象でした。ベトナム戦やイラク戦、インドネシア戦も……。

「日本はこの1年間、素晴らしい結果を残してきた。W杯でも素晴らしい成果を挙げた。だからチームも選手も、アジアカップに向けて何も疑問を感ぜず心配もしていなかった。誰もが簡単に勝てると考えていたが、実際にはそうではなかった。

 日本は自分たちよりも強い相手には力を発揮する。しかしこのアジアカップでは個々のメンタルやモチベーションに問題があり、選手は過度にリラックスしていた。結局のところ決意の問題だったと思う。

 もちろんそこには森保の責任もある。彼は選手を信頼するタイプの監督だが、もっと厳しく選手に要求しても良かったのかも知れない」

森保はもっと積極的に、チームに介入すべき

――彼は戦術的なところまで含めて選手に自由に発言をさせます。ミーティングでもまた選手との個別の会話においても。

「そのやり方でここまで成功してきた。しかしときにやり方を変えねばならないときもある。選手のコンディションが落ちているときなどは、気持ちを高めていかねばならない。選手が同じモチベーションを共有するために自由な会話は有効な手段だが、それがうまくいかないときには異なるやり方でアプローチする必要がある。監督がより直截的にメッセージを送る。戦術的により厳密なメッセージを監督が与える。いろいろなことを再確認し、日常的な慣習を変えていくことが必要となる。

 選手同士の話し合いで問題を解決できないのであれば――それは自主性に任せるやり方が、ことに自分たちよりも弱いチームに対してはうまくいっていないということに他ならない。弱い相手と対戦する際の問題は選手のクオリティではない。選手の献身の問題であり、ヨーロッパでもカップ戦でしばしば弱小チームがサプライズを引き起こす。それは弱小チームの方が献身的であるからだ。強豪チームが敗れるのは献身性の欠如によることが多い」

――日本もそうであったと。

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