ひときわ厳しい表情だった久保建英

　ミックスゾーンを次々と選手が通っていく中で、ひときわ厳しい表情が目立っていたのは久保建英だった。

　アジアカップの開幕前、久保は「今の自分の置かれている立場は前回のカタール（W杯）とは違う。自信を持っていきたい。プロに入ってからチームとしてのタイトルがない。まず一つ若いうちにタイトルが欲しい」と並々ならぬ決意を述べていた。

　それだけに、ベンチで見届けたベスト8敗退はもどかしかったに違いない。

「悪い流れになってきていたけど、あそこまで悪くなるとは思っていなかった。なんとか延長に行きたいという感じだったけど、最後にPKでやられてしまった」

試合を終えた久保は、誰よりも厳しい表情でメディア対応に応じた　©Kiichi Matsumoto

久保のコンディションは目に見えて上がっていたが…

　大会前は左太もも負傷の影響で別メニュー調整を強いられた時期もあったが、終わってみれば全5試合出場で第2戦以降は4試合連続先発。しかし、イランの前に屈した。

「前半はやっていて負ける気はしなかったけど、後半に入って相手に2、3回ロングスローを作られた。嫌な流れだなと思ったら、相手もそれに味をしめて、とりあえず蹴って拾って、となった。相手のやりたいことがうまくハマったと思う」

　決勝トーナメント1回戦バーレーン戦で今大会初ゴールを挙げていたように、久保自身のコンディションは目に見えて上がっていた。後半23分に交代で退いたのは無念に違いない。

「もっとやれたかなと思う。苦しい時間帯にもっともっと点に絡みたかった。大会を通して今の僕の限界かなと思う」と言うと、固い表情を崩すことなく日本メディアの前を離れ、外国メディアが待つエリアへと向かった。負けてもしっかりと取材に応じる姿には中心選手としての責任感が見えた。

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