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「宇野昌磨のキャリアが凝縮されていた」記者の感慨…全日本選手権“6回目の優勝”偉業はなぜ? 語っていた自覚「目標とされる存在でありたい」

posted2023/12/25 17:32

 
「宇野昌磨のキャリアが凝縮されていた」記者の感慨…全日本選手権“6回目の優勝”偉業はなぜ? 語っていた自覚「目標とされる存在でありたい」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

全日本選手権で6度目の優勝を果たした宇野昌磨

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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Asami Enomoto

 際立った存在感を示し、今年も頂点に立った。

 12月23日、フィギュアスケートの全日本選手権男子フリーを終えて連覇を果たした宇野昌磨は、一歩また、先へと進んでみせた。

相次ぐ好演技、最終滑走で迎えたフリー

 決して容易な優勝ではなかった。

 ショートプログラムでトップに立ち、最終滑走で迎えたフリー。

 第3グループに出場した吉岡希、壷井達也が好演技を見せると、その流れは最終グループになって加速する。グループ1番手の友野一希が観る人々を引き込む演技を披露する。友野ばかりではない。好連鎖のように、佐藤駿、三浦佳生、鍵山優真が次々に持ち味を発揮する。

 極めつけは山本草太だ。一昨年、昨年とショートプログラムで好位置につけながらフリーでミスが目立って順位を落とすなど全日本選手権では何度も悔しい思いをしてきた。でもこの日はそれを晴らすかのようなパーフェクトな演技を披露する。場内の熱気はさらに高まり、余韻が漂う。

「全日本選手権がいちばん緊張する」

 そう語る選手が少なくない特別な大会は、例年以上にハイレベルな、記憶されるべき舞台となった。

 好演技のあとの滑走者は、メンタル面に影響を受けるなど集中しきれないケースが少なくなく、決して滑りやすい状況とは言えない。最終滑走の宇野はそんな立場に置かれていた。

宇野の演技には、キャリアが凝縮されていた

 スタート直前の雰囲気に加え、宇野にとって、今回の全日本選手権は11月の中国杯から中1週で4大会続くハードなスケジュールで迎えた大会だった。また、愛用してきたスケート靴は、使用3年目を迎えて不具合があった。一般に硬い方が跳びやすいと言われる中、あえて柔らかい靴を用いてきたが、練習の段階からジャンプの感触が合わない状態だった。

 宇野は山本の演技に手をたたいて称賛をおくりながらリンクに進み出る。

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