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東農大名物“大根踊り”、今年の大根は学生の“手作り”だった! 応援団長が明かす、土作りから大手町に届くまで…「見に来ますか?」記者は畑へ向かった 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2024/01/02 13:46

東農大名物“大根踊り”、今年の大根は学生の“手作り”だった! 応援団長が明かす、土作りから大手町に届くまで…「見に来ますか?」記者は畑へ向かった<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

12月某日、厚木キャンパスの大根畑にて。東京農業大学の応援団長に大根踊りについて根掘り葉掘り聞いた

 加藤団長の熱い思いに誘われ、一路、神奈川県厚木市の厚木キャンパスへ。その全域が植物園として登録されているという緑豊かな大学構内にある実習用の圃場の一角に、手作りの“大根畑”があった。

「土作りから始めました。根菜は石があると分かれてしまうので最初は手で石を拾うところから……」

農学科教授と研究室の学生が協力

 とはいえ、応援団の力だけでは如何ともし難い。頼ったのはNHK Eテレ「趣味の園芸」に出演したこともある農学科の高畑健教授と園芸学研究室の学生たちだ。専門家の力を大いに借りて、畑を作り1畝あたり約200の穴に種を蒔いた。生育には2カ月半から3カ月。応援に使用する舞台から逆算して、7つの畝でそれぞれ時期をずらしながら大根を育ててきた。

「大変だったのは、箱根駅伝の予選会に向けた大根作りでした。8月に種を蒔いたんですが、あの暑さの中で育てるというのは普通あり得ないことなので、本当に色々な方に協力していただきました」

予選会を突破した“記念大根”なので、嬉しくて…

 最高気温35度以上が連日観測された昨夏の酷暑に耐えうるように、夏休み中も日々大根を気にかけた。雑草の繁茂を防止するためのマルチシートも通常の黒色ではなく、熱を集めないシルバーのものに変えるなど試行錯誤。そうして大きく育った葉付きの大根が10月14日、箱根駅伝の予選会で初めて披露され、10年ぶり70回目となる本戦出場の歓喜を彩ったのだ。

 応援に使った後の大根はこれまで、選手に配ったり生徒食堂に賄い用としてお裾分けしたりしていた。しかし、この時ばかりは「予選会を突破した“記念大根”なので、嬉しくて持って帰りました。家でお母さんが煮物に入れてくれました」。実はコロナ禍だった入学時から4年間、リーダー部に同学年の部員はおらず、たった一人で奮闘してきた。「高校時代から東農大の応援団に憧れていた」という加藤団長にとって、その情熱が実った満願成就の大根踊りだったのだ。

【次ページ】 1月1日に応援団が自ら収穫

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