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東農大名物“大根踊り”、今年の大根は学生の“手作り”だった! 応援団長が明かす、土作りから大手町に届くまで…「見に来ますか?」記者は畑へ向かった

posted2024/01/02 13:46

 
東農大名物“大根踊り”、今年の大根は学生の“手作り”だった! 応援団長が明かす、土作りから大手町に届くまで…「見に来ますか?」記者は畑へ向かった<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

12月某日、厚木キャンパスの大根畑にて。東京農業大学の応援団長に大根踊りについて根掘り葉掘り聞いた

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Nanae Suzuki

 第100回記念大会の箱根駅伝。10年ぶりとなる出場を果たしたのが松葉緑のユニフォームが眩しい東京農業大学だ。スタート、ゴール地点では、学ランを着た応援団が大根を手に勇ましく歌い踊る「青山ほとり」で選手たちを鼓舞。通称「大根踊り」として親しまれる名物応援は一体どのように生まれ、どんな意味があるのか。その手に持つ「葉付き大根」の謎にも迫った。〈全2回の第1回/後編を読む〉

「農大生元気あるかい!」「押忍、押忍、押忍!」

「大根持て!!」

「押忍(おーす)!」

 冬空に野太い声が響き渡る。伝統の“バンカラ風”の学ラン姿。東京農業大学全学応援団の面々が両手に握りしめているのは、真っ白なボディーにその葉も青々と茂る大根だ。

「農大生元気あるかい!」

「押忍、押忍、押忍!」

 羽織袴姿の団長の口上に続き、「大根踊り」として親しまれる名物応援「青山ほとり」が始まる。

『青山ほーとり 常盤松(ときわまつ)』

今年の大根は少し“重い”

 両手に大根を掲げながら、左右交互に足を蹴り出す。まるで漢字の「入」や「人」のような形の体勢になりながらの力強い“全力応援”に、掲げる大根の葉も激しく舞い踊る。

 実はこの大根、今年は少し“重い”のだという。

 リーダー部を率いる第92代団長・加藤俊弥さんが明かす。

「大根は今まで購入していたんですけど、農業大学なのに外から買っているというのは何か違うな、と思ったんです。ただの応援道具じゃなくて、自分たちが育てた愛情のこもった大根を持って応援したいと考えました。それこそ“オール農大”ですから!」

 これまで「大根踊り」の大根は、主に大学近くの食料品店に「LLサイズ」を注文して購入していた。葉付き大根はなかなか流通していないため、伝統的に必ず葉付きの物を使用する「収穫祭」と箱根駅伝の本戦だけは特別に、リーダー部のOBが営む小金井市の農園などから譲り受けていたが、今年は団長自らの発案で種から大根を育てたのだという。

厚木キャンパスの大根畑を訪れると…

「大根、見に来ますか?」

【次ページ】 農学科教授と研究室の学生が協力

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