遠慮せず積極的にコミュニケーションを取ることをテーマに臨んだ初めての合宿は、「そう思っていたけど、なかなか自分からは行けなかったです」と苦笑い。戸惑っている高橋にミドルブロッカー佐藤駿一郎（ジェイテクトSTINGS）がアドバイスをくれた。

「（セッターにどんなボールが欲しいのか）要求しないと分からないよ。自分から発信していくことが大事。難しいとは思うけど、少しずつでもコミュニケーションを取るようにしてみな」

　また、柳田の価値観が心に大きく響いたという。

「マサさんは同じ部屋の時もあったんですが、いろいろ話をしたり一緒にプレーするなかでいろいろ感じるものがありました。言葉と行動がしっかり一致しているし、（柳田の持つ）価値観には大きな刺激を受けました」

周囲も驚く急成長を見せた高橋慶帆。B代表が出場したアジア大会で存在感を発揮した　©︎AFLO SPORT

急成長の契機となったイタリア戦

　武器は本人も自信を持つブロックとジャンプ力。最高到達点357cmの高さは大きな武器だが、代表ではこれまで通用していたことが通用しない。これまでなら決まっていたスパイクがブロックされ、拾われる。「決めきる力」の重要性を痛感した。

「オポジットなので点を取らなければいけない。でも、そこで点が取れない。だから重要な場面でトスが上がってこないし、他の選手に託されることもあって、その部分を伸ばしていかないと真のオポジットにはなれないなと思いましたね」

　そんな試行錯誤を繰り返しながらも、周りに助けられ、少しずつ迷いも解消していった。

　転機が訪れたのは、７月の海外遠征中に行われたイタリアとの親善試合だ。西山大翔（パナソニックパンサーズ）がネーションズリーグのファイナルラウンドでA代表に呼ばれて不在となり、出場機会が増えたのだ。高橋はめきめきと頭角を現し、B代表のレギュラーを奪った。

「それまでなかなか結果を残すことができていなかったんですが、スタメンで起用されるようになっていろいろ試すこともできた。海外の2mを超えるような選手を相手にどう点を取っていくのか、その感覚も掴むことができましたね」

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