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トライアウト会場外でスーツ営業マンが熱視線、YouTube撮影も…“元最多勝→今は六花亭”多和田真三郎らの「感謝とホンネ」が沁みる

posted2023/11/16 17:41

 
トライアウト会場外でスーツ営業マンが熱視線、YouTube撮影も…“元最多勝→今は六花亭”多和田真三郎らの「感謝とホンネ」が沁みる<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

グラウンドでプレーする選手たちを見つめる各球団関係者。ただ球場外には、彼ら以外も熱視線を送る人々は多かった

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Yuki Suenaga

 12球団合同トライアウトが11月15日に開催された。かつてのタイトルホルダーやドラフト1位選手など、様々な境遇のプロ野球選手たちが人生を懸けて臨むアピールの舞台。それを毎年取材する筆者が見た、2023年の人間模様とは。《全2回の2回目/前編#1からつづく》

 昼休みの時間に、球場の外へ出て目についたのは、スーツ姿の男性だ。2人、3人と固まって紙袋を提げ、トライアウトが終わった選手を待ち受けている。

 コロナ前まではよく見た風景だった。プロ野球選手を勧誘しようとする一般企業のスカウトマンたちだ。筆者はその中の3人と名刺交換をした。

生命保険、飲食、警備会社や、YouTube撮影の人も

 ある生命保険会社の営業所長は「プロ野球選手は規律正しいし、努力もできるので即戦力だと思っている。うちの会社には元プロ野球選手やJリーガーが活躍している。それに顧客には、プロ野球選手も多いので」と語った。

 また別の生保会社のチーフコンサルタントは「プロ野球選手には、営業職かマネジメントかを選んでもらっているが、どちらでもしっかり成果を出してくれる。うちにも選手上がりはいるが、またぜひ欲しい」という。

 さらにまた別の生保会社のチーフプランナーは「コロナ前までは、毎年スカウトに来ていた。今年は、いろんな会社が来ているので獲得競争になりそうだが、絶対取りたい」という。飲食会社のチェーン店の担当者、警備会社の人事担当などの姿も見える。

 選手が球場から出てくると、そういうスカウトマンが列をなして名刺や資料を手渡している。コロナ前を上回る過熱ぶり、という印象だ。

「プロ野球選手は、ある意味最高の肩書なんだよね」とライター仲間が言う。

「ただし、本人がそうと意識すればの話だけどね」

 また、球場外で目立ったのは、小型の動画が撮れるカメラを選手に向ける人たちだ。選手の依頼でYouTube向けの動画を撮っているのだ。プロ野球選手が引退後のYouTubeのチャンネルを開設するのは、お定まりのコースになりつつあるのだ。

 さらには、握手やサインを求めるファンも群がって、球場外はさながらカオスという印象だった。これもコロナ明けの風景なのだ。

ドラ3→現役ドラフト組の成田翔が登場

 午後の部が再開した。3番手(19番目)のヤクルト成田翔は2015年のドラフト会議でロッテにドラフト3位で指名されて入団。秋田商時代、夏の甲子園ではベスト8まで進んで、注目された。今シーズンから現役ドラフトでヤクルトに移籍するも、3試合投げたにとどまった。

【次ページ】 DeNAの一線級中継ぎの本音と、台湾の星

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