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「責任は感じています」今季まさかの不振、昨季DeNAチーム最多勝・大貫晋一に何が起きていた? 本人が語る“マダックス”までの道のり

posted2023/11/13 11:01

 
「責任は感じています」今季まさかの不振、昨季DeNAチーム最多勝・大貫晋一に何が起きていた? 本人が語る“マダックス”までの道のり<Number Web> photograph by JIJI PRESS

前半戦は苦戦も9月の終盤戦で復活を遂げた大貫晋一。今季、一体何が起きていたのか。本人が振り返る。

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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「いいですよ。どんどん訊いてください」

 大貫晋一は、真っすぐな眼でそう言った。

 優勝候補と目されていた今シーズンの横浜DeNAベイスターズだったが、多くの誤算のもと25年ぶりのリーグ優勝を逃している。そのひとつの要因と言えるのが、先発の軸にならなければいけなかった大貫の存在だ。昨年はチーム最多タイの11勝を挙げ、フル回転を期待されていたが、結局今季は13試合の登板にとどまり、5勝4敗、防御率2.95で終えている。

 もっとできたのではないか、という思い。耳の痛い話も訊きますよ、と大貫に伝えると、冒頭の言葉を語ったのだ。決して暗い口調ではなく、責任を全うできなかった人間の真摯な感情が見て取れた。

自分の仕事ができなかった、悔しいシーズン

「おっしゃる通りで、自分の仕事ができなかった悔しいシーズンになりました。春先に肩を痛めて開幕に間に合わず、そこからなかなか調子が上がらない状態になりました。トレーニングの仕方を根本的に変えたり、日常生活の部分でもこれまで以上に気を遣うなど、いろんなアプローチを試みましたが、結局は登録抹消を繰り返してしまいました」

 そう反省の弁を述べると、大貫は顔を上げた。

「ただ過去3年間、ローテーションをまわってきて、特になにかを変えるということをしていなかったんです。けど、今年に関しては変えなきゃいけないなって。そこでいろいろチャレンジできたのは、今後のプラスになると思います」

 大卒社会人として24歳でプロ入りをして5年目、来年2月で30歳になる大貫にとってキャリア過渡期ともいえるタイミング。心技体において、考えさせられることが多かったのは想像に難くない。

何が起きていたのか

 今季はキャンプ時に「開幕投手を目指したい」と、控えめな性格の大貫には珍しく、初の大役に向け意欲的な思いを口にしたが、キャンプ後半に右三角筋後部を肉離れし戦線離脱。一体なにが起こっていたのだろうか。

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