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松島幸太朗まだノートライだけど「4年前よりチームを助けている」大西将太郎が期待する《ラグビーW杯運命のアルゼンチン戦》理想の展開は? 

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大西将太郎

大西将太郎Shotaro Oonishi

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/10/07 11:02

松島幸太朗まだノートライだけど「4年前よりチームを助けている」大西将太郎が期待する《ラグビーW杯運命のアルゼンチン戦》理想の展開は?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

アルゼンチン戦に向けて調整する松島幸太郎(30歳)。運命のアルゼンチン戦、今大会初のトライを奪えるか

 4年前のW杯では開幕戦でハットトリックを決めるなど、通算5トライをマークした。福岡堅樹と共に「ダブル・フェラーリ」と評され、世界的にも知名度を上げた。一方、今大会は3戦を終えてまだノートライ。明らかに対戦相手から警戒されており、敵陣では1対1の場面をほぼ作らせてもらえない。しかし、チームを勢いづけるプレーは、むしろ4年前より増えているのではと思う。

 イングランド戦の苦しい時間帯には華麗なステップで陣地を大きく回復した。サモア戦でもラインアウトで厳しいプレッシャーをかけられた時に、狭い道を見つけて一気に切り裂いた。あのようなプレーは本当に味方を勇気づける。ディフェンスでも危機を救うタックルを見せ、キック処理も頼もしい。派手な活躍は減ったように見えるかもしれないが、マツの好調ぶりは心強いポイントだ。

アタックの時間が減った? 4年前との違い

 そもそも、4年前と比べると日本のラグビーは変わった。アタッキングラグビーというよりは、ディフェンシブなチームになった。日本大会で観る人を惹きつけた「攻撃」の時間は、「諦めないディフェンス」に費やすことが多くなった。

 もちろん2019年W杯もディフェンスでは奮闘したが、現在のチームよりボールを持っている時間は長かった。今回のサモア戦でパスの数が下回っていることからもわかるように、日本がボールを持つ時間は減った。チーム全員で何度も何度もタックルに行き、たとえ綻びがあっても我慢し、チャンスが来たら速い展開でトライを奪う。それが今の日本だ。

パス/日本112回、サモア142回(タックル/日本181回、サモア83回)

※19年W杯・全5試合のパス回数
日本183、ロシア101
日本201、アイルランド166
日本135、サモア103
日本193、スコットランド154
日本204、南アフリカ104

 数年前からチリ、イングランド、サモア、アルゼンチンという重量級FWを自慢とする国々と戦うことは決まっていた。守備を強化しないと大量失点を喫する。準備期間もふまえて、今回のW杯に間に合う最適のラグビーを選択したのだと思う。だから、このアルゼンチン戦は「理想のラグビー」ではなく「勝つラグビー」を選んだジェイミージャパンの集大成になる。

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