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「会社からはいろいろ言われましたけど…」タブーを破った男の告白…オカダ・カズチカはあの日、なぜアントニオ猪木の名を叫んだのか? 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2023/10/05 11:00

「会社からはいろいろ言われましたけど…」タブーを破った男の告白…オカダ・カズチカはあの日、なぜアントニオ猪木の名を叫んだのか?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

映画『アントニオ猪木をさがして』にも出演しているオカダ・カズチカ

「それが、あの2020年札幌大会の前、1月6日大田区総合体育館で(獣神サンダー・)ライガーさんの引退セレモニーがあった時、猪木さんがビデオメッセージを送ってくださってたんです。その時、『もう壁はなくなったんだな』と思って、『だったらいいよね』ということで、事前に誰にも告げずに、リング上で猪木さんの名前を叫ばせてもらったんです。あの後、会社からはいろいろ言われましたけど、既成事実を作ってしまえば、何かが動き出すんじゃないかと思いましたし。そうしたら、ありがたいことに『Number』さんが動いてくださったんですけどね(笑)」

病気公表前に行われた“猪木との対談”

 2020年7月2日発売の『Sports Graphic Number』1006号、プロレス特集で、アントニオ猪木とオカダ・カズチカの初対談を企画。本当に実現できるのか半信半疑のまま双方に取材を申請すると、もともと対面を望んでいたオカダはもちろん、猪木側からも快いOKの返事が返ってきた。こうしてプロレス界にとって歴史的な対談が実現したのだ。

「いま振り返ると、猪木さんはよく対談を受けてくれたなって思うんですよ。体調も芳しくない中、僕みたいな若造となんで話をしようと思ってくれたのか。そこには何か意味があったんじゃないかって、最近思えてきましたね」

 この対談が行われた2020年6月の時点で、猪木は全身性アミロイドーシスの闘病中であり、翌7月には病気を公表している。当然、体調も万全とは言えず取材場所の都内スタジオにも車椅子で現れたが、控室で身なりを整えてオカダの前に立ったときには、“燃える闘魂”アントニオ猪木に変わっていた。そして対談は60分間にも及び、その後の撮影でも何度も「ダーッ!」のポーズを決めてみせた。

〈インタビュー後編では、猪木が闘病中に行われた対談での様子や、オカダに猪木がかけた「ある一言」について明かされる。後編につづく〉

#2に続く
「無理でしょ、って言われても…」生前のアントニオ猪木が“オカダ・カズチカに贈った言葉”とは?「猪木イズムというのは『闘う姿勢』だと思う」

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