- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥を追う日本人ボクサー」“25戦無敗”王者…中谷潤人25歳とは何者なのか？ 竹原、畑山も教えた米国人コーチ「ジュントがイチバンだ」
text by
林壮一Soichi Hayashi Sr.
photograph byGetty Images
posted2023/09/17 17:14
25戦無敗の王者、中谷潤人。今夏のLAキャンプで本人と米国人コーチを取材した
「もちろん、井上選手がKOで勝つと予想していました。ただ、井上選手は1階級上げてのスーパーバンタムです。フルトンはフェザー級転向が囁かれていたので、体格差があるんじゃないかという思いもありました。フルトンは反応も目もいい選手ですから、時間が掛かるかなとも感じましたが、それでも中盤から後半にかけて仕留めるだろうというイメージでしたね。井上選手のプレッシャーに、フルトンの集中力はもたないと思っていました」
中谷のLAキャンプは、月、水、金、土にスパーリングが組まれる。火、木は、心拍数を上げるトレーニングとして、全力でのシャドウボクシングを15ラウンド。井上vs.フルトン戦の前座がLAでオンエアーされた時刻は、火曜日の午前1時半。メインイベント開始は午前5時。その日の練習に影響が出ることも危惧されたが、「火曜日だからシャドウだけだし、見ちゃうか！」と、弟、そして岡部トレーナーと共にTVの前に座った。
「井上選手はボディへのジャブで、ペースを握っていきました。フリッカーが良かったです。ジャブを当てることで、フルトンの躰が縮こまりましたよね。勢い付こうとする相手を止め、こちらがペースを握れる。自分が相手をコントロール出来るスペースに、ポジションを取れる。そういった意味で、井上選手のフリッカージャブは有効でしたし、ディフェンスもピカイチでした」
序盤に放った右は、なかなかフルトンを捉えなかったが、それでも井上はジャブだけでなく、右も出し続けた。
「バランスが良く、体幹の強い選手ですから、当たらなくても気にしていなかったでしょう。次、次と手を出せるタイプなので、グローブを叩いてフルトンの反応を見る意味もあったと思います。井上選手は、常にKOを狙ったボクシングでしたね」
「フルトンは井上選手の前足を踏んでいた」
中谷は、フルトンについても述べた。
「フルトンは井上選手のプレッシャーに、疲弊していきました。元々ディフェンシブな選手ですが、パンチを当ててリズムを作りたいのに、当たらないから機能しませんでした。カウンターを狙っていたのでしょうが、万が一当たっても、あれでは効かないでしょう。
井上選手をリズムに乗らせないように、嫌がることをやりたかった筈ですが、前足を踏むくらいでした。オーソドックス同士なのに、フルトンは自分の左足を井上選手の前足の外側に置いていましたね。そして前足で、挑戦者の左足の外側を何度も踏んでいました。井上選手を止めたい、これ以上接近させない、近付かせないという意識の表れですよ。そんななかで井上選手は左ボディが当たるようになってきて、最後は右ストレートで決める、という流れでした」
「井上選手と対戦したい？」への答えは…
いつか、井上尚弥と対戦したいという気持ちは？ と訊ねると、WBOスーパーフライ級チャンプは応じた。
