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エディー・ジョーンズ「期待を背負う日本はホントにタイヘン。でも、やるしかない」…躍進のカギを握るのは“ピッチへの適応と一貫性” 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byMiho Watanabe

posted2023/09/10 11:11

エディー・ジョーンズ「期待を背負う日本はホントにタイヘン。でも、やるしかない」…躍進のカギを握るのは“ピッチへの適応と一貫性”<Number Web> photograph by Miho Watanabe

ラグビー日本代表について「対戦相手に警戒されるなかで、これまで以上の期待を背負う。これはホントにタイヘン」と語るエディー・ジョーンズ

ホームではないフランスの空気をどう変えるか

 2019年大会と今回の大きな違いに、プレー環境があげられる。

 日本人の観衆がスタンドを埋め尽くし、戦い慣れたピッチに相手を迎えた19年と異なり、今回はフランスが舞台となる。開催国と同じヨーロッパ勢のイングランド戦は、アウェイの空気感に直面するはずだ。フランス・トップ14でプレーする選手の多いアルゼンチン戦やサモア戦も、アウェイの立場になるかもしれない。

 エディーは「スタジアムの空気は、選手のパフォーマンスに影響を及ぼします」と言い、19年大会の準決勝を持ち出した。彼が指揮するイングランドが、優勝候補のオールブラックスを撃破した一戦である。

「日本のラグビーファンはオールブラックスが大好きで、ハカも大好きですよね。あの試合が行なわれたスタジアムには、オールブラックスのジャージーを着た日本人がたくさんいました。その人たちはオールブラックスが勝つことを求めていて、私が指揮したイングランドにはあまり関心がない。その空気を、試合前に変える必要があったのです」

 オールブラックスお馴染みのハカと対峙する相手チームは、肩を組んで横一列に並ぶ。ところが、この試合のイングランドはV字型に広がって向き合った。ハカをするオールブラックスの選手たちを、囲い込むように立ったのである。

「あれは私のアイデアではなく、何人かのアドバイザーがいるなかで出てきたアイデアでした。選手に提案したところ、彼らがそのフォーメーションを受け入れたのです。ニュージーランドにプレッシャーをかけていく、という気持ちでした。選手が勝てると思わなければ勝てないので、そのための準備のひとつでした」

 日本とフランスでは、ピッチコンディションも異なる。日本のピッチは乾燥していて固く、ヨーロッパはウェットで柔らかい。

 エディーがうなずいた。イングランド代表を指揮していた当時、彼は今回のW杯でメイン会場となるスタッド・ド・フランスを何度も訪れている。

【次ページ】 「日本も自分たちの強みを磨いていけばいい」

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