大谷の故障発生後、ある球界関係者から「大谷と代理人はこれで新契約から1億ドルを失った」というメッセージが届いた。実際に今回の故障発生が次の契約に影響することはもちろん間違いない。まずは大谷が二刀流の継続にどれだけこだわるかが注目ポイントになってくるように思う。

肘の異変を訴えた大谷翔平。水原一平通訳（右）も心配そうに見つめる　©︎Getty Images

　右肘を痛めるのは2度目なのだから、“打撃に専念させるべき”“外野手かクローザーに転向させてはどうか”といった声が増えるのは当然のことだ。先ほども話が出た球界関係者は「外野に移した方がいい」と話していて、彼がそう言うということは、つまり同じように考えているチームがあるということだ。

　今季の大谷は打撃の貢献だけでもMVPだ。それほどの打者だし、特に彼の場合は大人気ゆえにスポンサーからの金額も莫大。打つ方だけでも大金を払ってでも獲得したいというチームは多いはずだ。投手もやろうとすることが打撃にマイナスに影響することも考えられるわけで、むしろ打者に専念して欲しいと見る人も増えるかもしれない。

「二刀流」にこだわるならエンゼルスと再契約？

　今後、右腕の手術は不可避として、1年間のリハビリを経て復帰する2025年が一番難しいシーズンになる。“二刀流”としての大谷を獲得するチームは、その年は大谷の起用法が他の投手にどう影響するかといったことも考えなければならなくなる。そういった事情を考えると、大谷がこれまで通り、二刀流にこだわると仮定した場合、エンゼルス残留の可能性が高まったと言えるのではないか。

　そもそも2018年に大谷がエンゼルス入団を決めたのは、彼は二刀流を熱望していて、それをやらせてくれるチームに行きたいと思ったから。実際にエンゼルスはほぼ彼の希望通りにさせてくれた。チーム側がアジャストしてくれないと二刀流の継続が難しいという現状は、入団時の状況に似通ってきているとも言える。さっきも話した通り、二刀流に難色を示すチームが出てくる中で、ほぼ確実にそれをやらせてくれるチームがあるとすればそれはエンゼルスだ。そう考えていくと、エンゼルスとの再契約の線が濃くなったと考えるのが自然なのだろう。

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