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高校野球「丸刈りは悪、勝つ野球は悪なのか?」“甲子園取材歴20年超”記者の視点…慶応高・森林監督は「指示通りに動く選手では足りない」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/08/25 17:02

高校野球「丸刈りは悪、勝つ野球は悪なのか?」“甲子園取材歴20年超”記者の視点…慶応高・森林監督は「指示通りに動く選手では足りない」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

連覇を逃し、肩を落とす仙台育英

「例えば髪形について、ただ自由にした方がいいということではないんです。選手主体で意見を出しながら、自分たちの置かれている環境ではこれがいいんだと決めて、前に進めていくことが大事だと思っています。

 指導者や監督から言われたことをやるだけの人材は、これからの世の中ではあまり必要とされてないと思います。監督のサイン通りに動く、練習も寮生活も指導者の指示通りに動く……では人材育成面で高校野球は足りていない。一人一人の個性とか主体性とか、多様性といったものを高校野球の中でもっと追求していきたいですね。

 今回、甲子園に出場させてもらって現場レベルでは変わりつつあるなというのは感じました。スポーツマンシップや相手を尊ぶといったことも含めて、高校野球は進化してきていると思う。もっと加速させていきたいなと思います」

 指導者がどちらの野球を好み、選手たちはどちらのプレーをすることを望むのか。それはそれぞれの自由だ。

 甲子園を目指す野球、甲子園を通過点とする考え方。どれも否定されるものでない。多様性が生まれてきた中でやりたい野球をやればいい。そのことを教えてくれた第105回大会だったように思う。

<前編から続く>

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「なぜ慶応高はチャンスでフライアウトしても怒られない?」甲子園“勝つ野球”ではタブーだが…現場記者は見た「高校野球の常識が変わる夏」

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