馬淵　今もそうやで。明徳では、もう絶対です。特にショートとキャッチャーは打てんでもええと思ってます。いくらバッティングがよくても守備が水準以下やったら、うちではレギュラーになれませんよ。

難しい選手起用…馬淵監督は何を重視？

――とはいえ、この選手の打撃力は捨てがたい、という場合もあるのではないですか。

馬淵　もちろん、バッティングがよくて、守備が特別うまいわけじゃないけど水準には達しているのであれば、起用する場合はありますよ。

――そういう選手はどこを守るものなのですか。昔だったら、ライトだったりしたわけですけど。

馬淵　外野は守備力の高い選手じゃないと。外野のミスは必ず失点につながるから。まあ、下手でも許されるところは、サードでしょうね。昔から、よう言われるんですよ。「明徳のサードは……」って。でも僕の中では、やっぱり野球は守備。点さえ取られなかったら、負けることはないわけですから。そのスタイルを貫いてきたからこそ、甲子園に（春夏通算で）37回も出て、54勝もできたんだと思ってますよ。この前、どこかの記者さんに言われたな。もう1回甲子園に出たら、出場回数は高嶋（仁＝前・智辯和歌山監督）さんに並んでトップになるそうですよ。

――馬淵さんの記録で特徴的なのは、実は、甲子園で50勝以上あげた監督は6人しかいないのですが、馬淵さん以外はみなさん3回以上優勝しているんです。馬淵さんも2002年夏に初優勝し、近い将来、また頂点に立つ日が来るんだろうなと思っていたのですが。

2002年夏の甲子園、森岡良介、田辺佑介らを擁して初優勝を果たした明徳義塾 ©Hideki Sugiyama

馬淵　回数だけは出とるからな。優勝はそんなに簡単なもんじゃない。でも、あの試合さえ勝ってたら優勝してもおかしくないというときは何回かあったんですよ。2年前の夏も準々決勝で智弁学園に3−2でサヨナラ負けしたんですけど、あそこを突破できとったらな。そんなんも多いんですよ。

今は2回戦から登場したほうが有利

――明徳はここ10年も、いいところまでは勝ち進んでいるんですよね。春はベスト8が1回、夏はベスト8が2回、ベスト4は1回あります。ただ、ここより上に行こうと思ったら、やはり打てないと、ということなのでしょうか。

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