“令和の怪物”伯桜鵬19歳が「化け物になる」と誓った日…「圧倒的なパワーの持ち主ではない」ザンバラ髪のホープの“意外な実像”とは

　3人の関脇が大関取りに挑んだ先の名古屋場所は、豊昇龍が初優勝とともに大関昇進を決めて幕を閉じたが、新入幕ながら千秋楽まで優勝を争った19歳の伯桜鵬の活躍ぶりは大きなインパクトを残した。

　実業団横綱のタイトルを引っ提げて今年初場所、幕下15枚目格付け出しで角界入りすると、昭和以降では現幕内の遠藤と並ぶ史上最速の所要わずか3場所で幕内昇進を果たした。まだ10代ながら異例のスピード出世に“令和の怪物”と言われたが、早くも幕内デビュー場所でその片鱗を見せた。

過去3戦全敗の豪ノ山を「周到な準備」で撃破

「明日の相手に勝てるように準備して土俵に上がりたい」

　“怪物”の異名を取る若手ホープの快進撃の原動力となったのは、対戦相手の徹底した研究にあった。

　6日目の豪ノ山との新入幕対決は、今後の展開を占う意味でも試金石と言える取組だった。豪ノ山とは十両時代、夏場所の優勝決定戦も含めて3戦全敗。その決定戦では電車道で圧倒されている。立ち合いから相手を根こそぎ持っていく馬力相撲が持ち味の豪ノ山は、初日から5戦勝ちっぱなし。ここまでの相手の勢いと過去の対戦成績からして、伯桜鵬がやや不利かと思われた。

　果たして、互角の立ち合いから激しい押し合いとなったが、終始頭を上げなかった10代の新鋭は、相手がまともに引いていたところで一気呵成に攻め込み、最後は絶妙なタイミングで叩き落とした。

名古屋場所6日目、過去3戦全敗だった豪ノ山をはたき込みで破った伯桜鵬　©JIJI PRESS

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「立ち合いで止めて押し合いになれば、引いてくるのはわかっていた」

　まさに周到な準備が功を奏した一番だった。「意識するのは土俵上で慌てないこと。落ち着いていれば、いつかチャンスが来る」と常々語っていた通り、分の悪い相手に対し、我慢しながら冷静沈着に勝機が訪れるのを待ち、その時を決して逃さず白星を手繰り寄せた。

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