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「イノウエが終盤にKOする」米ボクシング誌の編集長は“井上尚弥の勝利”を確信? 王者フルトン撃破の理想プラン「効果的なパンチをボディに…」

posted2023/07/24 11:06

 
「イノウエが終盤にKOする」米ボクシング誌の編集長は“井上尚弥の勝利”を確信? 王者フルトン撃破の理想プラン「効果的なパンチをボディに…」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

いよいよ王者フルトンとの試合を迎える井上尚弥。世界が注目するファイトはどんな結末を迎えるのか、識者も興奮を隠しきれない

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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Hiroaki Yamaguchi

 井上尚弥(大橋)の無敵の進撃は続くのか、それとも階級の違いを思い知らされるのか。審判の日は間近に迫っている。バンタム級の4団体統一王者になった井上が7月25日、1階級を上げて有明アリーナでWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(アメリカ)に挑むのだ。

 プロデビュー以来21戦全勝(8KO)のフルトンは、スキル、スピードなどをすべてハイレベルで備えたオールラウンダー。スーパーバンタム級で戦い続けてきた選手でもあるだけに、ライトフライ級でプロキャリアをスタートさせた井上よりも骨格的にひとまわり大きいはずだ。そういった要素から、世界最高級のボクサーと評価される“モンスター”にとってもこれまでで最大の難敵という見方が一般的だ。

 この試合を楽しみにしているのはもちろん日本のファンだけではない。決戦を目前に控え、世界で最も権威あるボクシング専門誌、リングマガジンのダグラス・フィッシャー編集長が直前展望&展開予想を寄せてくれた。フルトン対井上戦を“現在の世界ボクシング界で3大マッチアップの1つ”と呼ぶフィッシャー氏の言葉からは、軽量級史上に残る注目ファイトへの期待感と興奮が伝わってくる。

“滅多にない”マッチメイク「2人を誇りに思う」

(以下、フィッシャー氏の語り)

 井上がフルトンに挑戦するタイトルマッチが決まった時、私は驚かされました。なぜならフルトンはアル・ヘイモンが主宰する“プレミア・ボクシング・チャンピオンズ”と関係が深い選手だったから。一方の井上はアメリカ国内ではボブ・アラムが率いる“トップランク”によってプロモートされています。

 ヘイモンが自前の選手をプレミアケーブル局のShowtimeではなく、他のプロモーターと関係が深いテレビ局で放送、配信される興行に出場させるのは滅多にないこと。そんなカードが成立したという驚きと同時に、私は興奮しました。

 現在の世界ボクシング界における3大ベストマッチアップは、エロール・スペンス・ジュニア(米国)対テレンス・クロフォード(米国)の世界ウェルター級4団体統一戦(注・このカードも7月29日にラスベガスで挙行される)、アルトゥール・ベテルビエフ対ドミトリー・ビボルというロシア人同士の世界ライトヘビー級4団体統一戦、そしてフルトン対井上だと思っていました。そのうちの1つがここで実現するのです。

 自身のプロモーターに自ら掛け合い、この対戦を承諾させ、しかも来日することを望んだフルトンを私は誇りに思います。一方、スーパーバンタム級に上げての初戦でいきなりその階級最強の選手に照準を合わせた井上のことも誇らしく感じます。2人の男が偉大さを追い求めたからこそ、この対戦がまとまったのですから。

【次ページ】 「2つの異なるスタイルの激突」

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