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大谷翔平“去就”のカギを握るエンゼルスGM「ペリー・ミナシアン」とは何者か?「元々はバットボーイ」「ショウに投手陣再建の意見を聞いたんだ」 

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ブラッド・レフトン

ブラッド・レフトンBrad Lefton

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photograph byNanae Suzuki

posted2023/07/14 11:04

大谷翔平“去就”のカギを握るエンゼルスGM「ペリー・ミナシアン」とは何者か?「元々はバットボーイ」「ショウに投手陣再建の意見を聞いたんだ」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平の去就のカギを握るミナシアンGM。一体、彼は何者なのか。2022年シーズン開幕前のインタビューから紐解く

「対戦したことのあるリリーフピッチャーの中で、この右投手はどうかとか、この左投手のことはどう思うか、うちからFAになる投手は残留させるべきかどうか……。いろいろなことを聞きました。最終的に判断するのは私たちですが、判断材料の一つとしてショウのような意見は不可欠なんです。

 ミナシアンは昨季不安を抱えていたブルペンを大幅に強化した。まずFAになったイグレシアスと再契約。さらにマドン監督が相手打線とうまく駆け引きできるよう中継ぎを強化。FAになったアーロン・ループ、アーチー・ブラッドリー、ライアン・テペラの3人を獲得。ループは昨季、50イニング以上投げながら防御率1.00を切るという、ここ10年のメジャーで5人目となる好成績を挙げた。ブラッドリーは53試合に登板して7勝3敗2セーブ、13ホールド、防御率3.71を記録。テペラは自己ベストの22ホールドと防御率2.79を挙げている。

シンダーガードに“一目惚れ”

 先発陣の補強も必須だった。右腕のノア・シンダーガードとマイケル・ロレンゼンと契約。過去3度の2桁勝利を誇るシンダーガードは肩まで伸びた金髪がトレードマーク。2010年のドラフト1巡目でブルージェイズが指名した際のスカウトがミナシアンだった。'20年3月に受けた右肘のトミー・ジョン手術の影響で昨季は2試合登板にとどまったが、誰よりもその実力を知っているからこそ、調子を取り戻せればエンゼルスをポストシーズンに導くと期待を寄せる。

「手術から完治したらすごい補強になるはずです。ローテを支えるピッチャーが必要な我々にとって彼は理想。うちに足りないタフさを持っている。先発陣にいい影響を与えるはずです。ドラフト当時はアマチュアで最もいいピッチャーで、ひと目見たときから恋に落ちたことを思い出します(笑)」

人間味あふれるGM

 大谷よりも前からメジャーで二刀流を目指すロレンゼンは近年はほぼリリーフで起用されていたが、エンゼルスでは主に先発ローテに戻すとミナシアンは言う。

 さらに、メジャー屈指といわれる強力打線を担う主砲二人の復帰も不可欠だ。昨季は右ふくらはぎの故障で36試合出場にとどまったマイク・トラウト、故障を繰り返し、8月には右股関節の手術を受けたアンソニー・レンドン。この二人が復活すれば大谷を含めメジャー屈指の攻撃陣になる。大谷は3番トラウト、4番レンドンの前を打つことになるだろう。

 オフのチーム作りが正解だったかどうかは蓋を開けてみないと分からない。ただ、いくつもの夢をかなえてきた人間味あふれるGMは、エンゼルスでも大きな夢に向かっている。

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