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「オオタニはエンゼルスに“何を残すか”を意識している」現地記者が語る、大谷翔平の“今季の変化”「WBCでは輝いて見えた。同時に思ったのは…」

posted2023/07/04 11:02

 
「オオタニはエンゼルスに“何を残すか”を意識している」現地記者が語る、大谷翔平の“今季の変化”「WBCでは輝いて見えた。同時に思ったのは…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今季、活躍を続ける大谷翔平を取材する記者はどう見ているのか。地元・LAタイムズ記者のディラン・ヘルナンデスに話を聞いた

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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Nanae Suzuki

 今が最盛期なのか、それとも依然として発展途上の段階なのか――。

 今年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、包み隠すことなく、感情を表現したロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平が、公式戦中盤を迎え、投打にわたり、驚異的な成績を残している。いずれもMVPを獲得した21年を凌ぐペースで好成績を積み重ねており、現段階では最終形が想定できない。

 果たして、今季の大谷は、何が変わったのか。

 地元の有力紙「ロサンゼルス・タイムズ」でコラムニストとして健筆を振るう、ディラン・ヘルナンデス記者が、大谷とエンゼルスの近況について語った。(全2回の1回目/#2も)

トンネルの先が見え始めているような感じ

 超辛口で知られる同記者は、いつも以上に、穏やかな口調で話し始めた。投打ともに好調で、所属するエンゼルスもポストシーズンの射程圏内にいるだけに、むやみに「叩く」わけにもいかないのだろうか。ただ、今季の大谷の「変化」を、明らかにプラス材料として捉えていた。

「チームが勝っているから、やっぱりこの方が楽しいと思っていると感じます。メジャーは甘い世界ではない。ただ、たとえ自分が活躍してもチームが勝てなくてはおもしろくない。今は、トンネルの先が見え始めているような感じじゃないかと思います」

 過去5年間、個人成績ばかりが注目された大谷にとって、今年3月のWBCが、多岐にわたって刺激になったことは、想像に難くない。米移籍後は、ポストシーズンの経験がなく、シーズン後半は味気のない「消化試合」に身を置いてきた大谷にとって、「ヒリヒリするような」WBCは、特別な期間だったに違いない。同記者は、大谷の内面の変化を見落としていない。

WBCで優勝したことで物の見方が変わった

「今までエンゼルスでは優勝したことがなかったのですが、WBCで優勝したことで、考え方というか、物の見方が変わったようにも映ります。プレッシャーのある環境で、とんでもなく輝いていましたし、あの時の大谷の表情を見た時は、おそらく来季以降、勝てそうにないエンゼルスには残留できないと思ったのも事実です」

【次ページ】 母校監督から聞いた「彼は誰も歩いたことのない道を行く」

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