「バスケットより家族が大事」「ジョーダンに並ぶ記録も興味なし」“ピュアすぎるスーパースター”28歳ヨキッチがNBAに染まらない理由

　NBAファイナル第4戦。デンバー・ナゲッツがマイアミ・ヒートに勝利してシリーズ3勝1敗とし、初優勝に王手をかけた夜、ナゲッツの大黒柱、ニコラ・ヨキッチは、まるで笑顔を見せたら優勝が逃げていくと思っているかのように、淡々とメディアの質問に答えていた。優勝に王手をかけたことについて聞かれても「まだ、あと1勝しなくてはいけない。今夜の試合でよかったのは、みんな最後までリラックスしなかったこと」と、表情を崩そうとしなかった。

　そんなヨキッチの顔に、少年のような笑顔が浮かんだ質問があった。同じセルビア出身のテニス選手、ノバク・ジョコビッチについて聞かれたときだ。

　この時、ジョコビッチはグランドスラム通算23回目の優勝となる全仏オープン優勝を目前としており、ヨキッチのNBAファイナルでの活躍とあわせて、セルビアのスポーツファンにとって、歴史的な週だったのだ。

　ジョコビッチの名前を聞いたヨキッチは、まるでおもちゃを目の前に出された子供のように、表情をパッと明るくさせた。

「彼からテキストメッセージをもらったんだ。本当だった。彼が言ったことは嘘じゃなかったよ！」

「僕もジョコビッチのようになりたい」

　この2週間ほど前、ジョコビッチと話すことがあるかと聞かれたヨキッチは、残念そうに「正直言って、彼の電話番号は知らないんだ」と明かしていた。そして、ジョコビッチについて、ひとりのアスリートとして、憧れをこめた称賛を語った。

全仏オープンで男子選手史上単独最多となる四大大会23度目の優勝を成し遂げたノバク・ジョコビッチ　©︎Getty Images

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「彼は僕なんかよりずっと大きな舞台でセルビアを代表してきた選手。セルビアの子供たちの憧れの的だ。コート上だけでなく、基金での活動もすばらしいし、尊敬できる人だ。僕も彼のようになりたい。僕なんて、まだまだ彼とは比べものにすらならないよ」

　そのヨキッチのコメントをSNSで見たジョコビッチは、どこからかヨキッチの電話番号を手に入れたようで、テニスTVの取材に答えて「実は、彼の番号をきのうようやく手に入れたところなんだ。彼にテキストメッセ―ジを送るつもりだ」と言っていた。ヨキッチが「嘘じゃなかった」と言ったのは、それを受けてのことだった。

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