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巨人にFA決断、暴行騒動、異例だったメジャー挑戦…山口俊がいま明かす“激動のあの日”「マネーゲームをしたくなかった」

posted2023/06/12 11:02

 
巨人にFA決断、暴行騒動、異例だったメジャー挑戦…山口俊がいま明かす“激動のあの日”「マネーゲームをしたくなかった」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

昨季をもって現役を引退した山口俊にインタビュー(前編)

text by

水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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Takuya Sugiyama

 17年間のプロ野球生活に幕を下ろし、今年4月に現役引退を発表した山口俊。輝かしい活躍もあった一方、巨人にFA移籍、世間を騒がせたトラブル、あっと驚くメジャー挑戦、巨人に電撃復帰……その現役人生について自ら「波瀾万丈でした」と表現する。今、波乱の17年間を振り返って何を思うのか。自身が経営する六本木のちゃんこ店「TANIARASHI」で話を聞いた。前編は「巨人・メジャー球団に移籍した理由」。〈全3回の#1/#2#3へ〉 

◆◆◆

 山口俊の野球人生は、本人が言うようにまさに波瀾万丈だった。

 2005年のドラフト会議で横浜ベイスターズに1巡目指名で入団し、エースとしてもクローザーとしても活躍。順風満帆な野球人生で最初の転機を迎えたのは、それから11年後、29歳のときだ。

FA移籍…悩んだ末になぜ巨人?

 2016年11月8日にFA宣言。11年間世話になったベイスターズへの残留可能性も残しつつ、当時の報道によると「中日か巨人」の2球団による争奪戦が繰り広げられ、最後に巨人入りを決断したと報じられた。 

「有り難いことに何球団かに声をかけていただいて。最終的には、当時の巨人の堤辰佳GMの強い熱意といいますか、僕に対しての思いや期待という部分で決断させてもらいました。決めるにあたって、僕のことをどこまで深く見てくれていて、どんな役割を任せてくれようとしているのかを一番重視しました。ジャイアンツというよりも僕は堤さんから伝わる気持ちで選んだ。もちろんどのチームからもすごく誠意を感じましたし、残留することも含めて本当に最後の最後まで迷ったのですが……。当時の肩の状態などもきちんと事前にお話しした上で、巨人軍でプレーすることを決めました」

「マネーゲームしたくなかった」

 FA宣言したシーズン、つまりDeNA最終年の成績は先発として19試合に登板し、11勝5敗、防御率2.86。チームとして“計算できるピッチャー”の争奪戦は、宣言から約3週間で幕を閉じた。

「何と言うか……ストレートに言うとマネーゲームをしたくなかった気持ちもありました。プレーヤーとしての自分の適正価格も自分なりに考えて、これくらいかなというのがあったんです。プロなのでお金も大切。ですが、それよりもっと違うところを大切にしました」

【次ページ】 いま振り返る「あの騒動」

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