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「絶対に勝たなあかんと思ってやってない」岡田彰布監督が語る阪神タイガースの勝ち方「打たんでもいいって言ってるのに、勝手に打ちよる(笑)」

posted2023/06/01 17:30

 
「絶対に勝たなあかんと思ってやってない」岡田彰布監督が語る阪神タイガースの勝ち方「打たんでもいいって言ってるのに、勝手に打ちよる(笑)」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

セ・リーグで首位を独走する阪神・岡田彰布監督(65歳)。なぜ今年はここまで強いのか。ロングインタビューに答えた

text by

酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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Takuya Sugiyama

 17年もの長い間、”アレ”から遠ざかる阪神タイガースに勝ち方を知る指揮官が戻ってきた。すると開幕から面白いように采配が的中、チームの変革に成功した。名将・岡田彰布はどこまで野球を深く知るのか、その核心に迫る。
 現在発売中のNumber1074号掲載の[ロングインタビュー]岡田彰布「勝負はまだまだこれからよ」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文は「NumberPREMIER」にてお読みいただけます】

 甲子園には、タイガースと岡田彰布の蜜月をあらわす場所がある。

 室内練習場の2階廊下。白い壁には、重厚な木の額縁に入った11枚の写真が飾られている。藤村富美男、吉田義男、星野仙一ら球団史を彩った猛者たちと肩を並べ、岡田の姿もある。'05年優勝の胴上げや優勝トロフィーの隣で白い歯を見せるショットだ。

 ただ、1枚だけ、不思議な写真がある。

 1962年10月5日の優勝パレードを撮ったパネルには、観衆が路上にあふれ、選手が乗るオープンカーを囲む様子が収められていた。よく見ると大人に混じり、一人の少年がユニフォーム姿で車のなかに座っている。

「あれ、監督なんですよね。そう聞いたことがあります」

 そう話すのは、監督付き広報の藤原通だ。チームの支援者だった父勇郎の影響で、幼少期から阪神ファンだった岡田少年がパレードの写真に映っている――。代々、関係者に伝わってきた定説だ。

 しかし、当の本人は、写真を一瞥して首をかしげる。

「これな、分からんわ。乗ってたけど、どこに乗ってたかまでは憶えてないよ」

 岡田少年は当時4歳。記憶がおぼろげのまま、いつしか球団のなかで既成事実になっていった。

「勝ち方」を知る数少ない指揮官

 岡田はタイガースとの深い縁に導かれるように、今季、15年ぶりに阪神の監督として戻ってきた。21世紀に入ってからチームが優勝したのは2度だけ。'03年の星野と'05年の岡田体制時だ。「勝ち方」を知る数少ない指揮官が、再び、超人気球団を率いる。さぞかし重責を感じているのかと思いきや、拍子抜けする答えが返ってきた。

【次ページ】 「打撃に専念できる態勢を作らんと」

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