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中村剛也39歳「史上初2000三振」は勲章だ!「統一球で48本塁打+21世紀最多461発」…最強スラッガーのアッパレな成績

posted2023/05/02 11:04

 
中村剛也39歳「史上初2000三振」は勲章だ!「統一球で48本塁打+21世紀最多461発」…最強スラッガーのアッパレな成績<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

2016年の中村剛也。通算2000三振は20年近くの間、パを代表するスラッガーとして活躍した勲章と言える

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Kiichi Matsumoto

 西武の中村剛也が4月29日の楽天戦で、通算2000三振を喫した。投手は藤平尚真、NPBでは通算2000試合は55人、2000安打は54人、2000四球は1人(王貞治)が記録しているが、2000三振は史上初。偉業と言ってよい。

「三振をしても使われ続ける」価値がある

「三振なんて、バットを3回振ればいいだけだ。誰でも記録できるだろ」という人がいるかもしれない。確かに1つ2つの三振はプロ野球選手なら普通に記録できるが、2000もの三振を喫する間に「使われ続ける」のは、並大抵のことではない。

〈NPB打者の三振数5傑とその打者の本塁打数〉※現役選手の数字は4月30日終了時点
 中村剛也 2000三振/461本塁打
 清原和博 1955三振/525本塁打
 谷繁元信 1838三振/229本塁打
 山崎武司 1715三振/403本塁打
 秋山幸二 1712三振/437本塁打

 5傑のうち4人が400本塁打をマーク、谷繁は229本塁打だが横浜と中日で30年近く不動の正捕手だった。5人には山のように三振しても使われ続ける「理由」があった。

 中村剛也は4月30日時点で1974試合出場。出場試合数よりも三振数の方が多い。1試合に1個以上三振をしてきたという計算になるが――これは凄いことだ。NPBで1000三振を記録した打者は75人いるが、1試合当たりの三振数5傑を出すとこうなる。

 R.ブライアント1.53(1186三振/773試合・259本塁打)
 中村剛也1.01(2000三振/1974試合・461本塁打)
 T.ローズ0.99(1655三振/1674試合・464本塁打)
 A.カブレラ0.92(1143三振/1239試合・357本塁打)
 T-岡田0.88(1172三振/1339試合・204本塁打)

 ラルフ・ブライアントと言えば、近鉄バファローズで3回本塁打王、同時にNPB記録の204三振を始め最多三振を5回記録。舶来の「超大型扇風機」だった。通算259本塁打。中村剛也はブライアントに次ぐ2位だ。ともに「三振は本塁打のコスト」を体現していると言えよう。

昭和の大スラッガーと比べると三振数が多いが

 ただ昭和の野球を知る人は違和感を持つに違いない。以下はNPBの通算本塁打3傑の1試合当たりの三振数。

 王貞治0.47(1319三振/2831試合・868本塁打)
 野村克也0.49(1478三振/3017試合・657本塁打)
 門田博光0.59(1520三振/2571試合・567本塁打

 いずれも三振数は試合数の半分前後。王貞治などは本塁打数より三振数が少ない年が5シーズンもあった。当時の打者は今より打撃の精度が高かったのではないか? 中村剛也など最近の打者は「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」でバットを振り回しているのではないか?

 そうではない。この半世紀で日本のプロ野球は大きく変貌しているのだ。

【次ページ】 現代野球では「三振は本塁打のコスト」という考え方

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