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渡邊雄太“幸せな時間”も“冷遇”も味わったNBA5年目「現実をしっかり受け止める」暁子夫人の変化も明かす「僕も楽しみにしているんですよ」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph bySipa USA/JIJI PRESS

posted2023/04/30 11:03

渡邊雄太“幸せな時間”も“冷遇”も味わったNBA5年目「現実をしっかり受け止める」暁子夫人の変化も明かす「僕も楽しみにしているんですよ」<Number Web> photograph by Sipa USA/JIJI PRESS

激動の1年となったNBA5年目。渡邊雄太は「すごく大きな経験ができたシーズンだった」と最後は笑顔で締め括った

「デュラント、アービングのおかげで僕は活躍できていましたし、ああいう選手と一緒にプレーする時に自分の良さが出るんだなと。ただ、トレードでがらっと変わった時に、まだ自分はチームメイトに依存する部分があるとも感じました。どういうチームでも出れる選手では僕はまだないですよね。その現実をしっかり受け止め、もっと成長しなきゃいけません。それらもすべて含め、すごく大きな経験ができたシーズンだったと思います」

 聡明な渡邊はこれから先、自身がやらなければいけないことをもちろん認識している。

 まずはついに自身の武器として自信が持てるようになったロングジャンパーの精度をキープすること。個人技やディフェンスにもさらに磨きをかけ、同時にハッスルプレーを1年継続できるだけのコンディション、体力を保つこと。そして、来季にどのチームに所属し、どんな選手たちとプレーすることになろうと、自身の長所を発揮し続けられるだけの絶対的な力を得ること。

 それらをすべて成し遂げたとき、今季、「自分が本当にNBA選手の1人だという感覚が得られた」というサウスポーは次の段階に進むことができる。気力、体力が充実し、バスケットボールへの愛情を改めて感じさせている今の渡邊ならまだまだ向上は可能なはずだ。

暁子夫人の“進化”にも刺激?

 最後に付け加えておくと、渡邊だけでなく、渡邊が心底からの愛情を注ぐ暁子夫人も前に進んでいる。渡邊いわく、「そんなにバスケットボールを知っているわけではない」という愛妻だが、今季、夫とともに歩み、アリーナに通い詰めるうちに変化が生じていったのだという。

「僕の試合を初めて観に来たのはまだ結婚する前、ラプターズ時代のトロントなんですけど、本当に何も知らない状態で、プレーがなぜ止まっているのかもわからなかったくらいでした。それが、今はルールもしっかりと把握しています。それどころか、“審判の今日のあの笛はどうだったの?”とか言って来たこともあったんです。そんなことがわかるようになったんだ、と。また来シーズン以降、奥さんのバスケット知識が増えていくのを僕も楽しみにしているんですよ(笑)」

 アップ&ダウンの激しい長い1年だったが、最後はやはり笑顔だった。経験を重ね、自信も身に付け、信頼できる伴侶も得た今の渡邊に悲壮感はない。だとすれば、29歳を迎える来シーズン、魔法はきっと戻ってくる。二人三脚になった渡邊ファミリーの豊かな旅路を、周囲の私たちももうしばらく楽しみにしておくべきに違いない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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