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渡邊雄太“幸せな時間”も“冷遇”も味わったNBA5年目「現実をしっかり受け止める」暁子夫人の変化も明かす「僕も楽しみにしているんですよ」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph bySipa USA/JIJI PRESS

posted2023/04/30 11:03

渡邊雄太“幸せな時間”も“冷遇”も味わったNBA5年目「現実をしっかり受け止める」暁子夫人の変化も明かす「僕も楽しみにしているんですよ」<Number Web> photograph by Sipa USA/JIJI PRESS

激動の1年となったNBA5年目。渡邊雄太は「すごく大きな経験ができたシーズンだった」と最後は笑顔で締め括った

 もう一つ、今季の渡邊にとっての大きな変化を挙げるとすれば、家庭を持つ立場になったことがやはり見逃せない。昨年5月の結婚後に一緒に渡米し、以降は常に傍にいてくれた暁子夫人の存在は心の支えになった。それと同時に、世間から注目される形での結婚だったことも、渡邊の新たなモチベーションになったようだ。

「僕らが結婚を発表したときに、いろいろと言われました。一人の女性がちょっと目立つアナウンサーをやっているというだけで、そういう標的になったりする。彼女は本当に大変な思いをしながら僕のサポートをしっかりやってくれていました。キャンプ中と3月末、2週間ずつくらい日本に仕事の都合で帰ったんですけど、ニューヨークにいる間は毎試合観に来てくれて、遠征にも何回かついて来てくれました。僕がシーズンを通して結果を残せなかった場合、標的がまた奥さんにいってしまう可能性がありましたよね。だからこそ、僕も結果を出せてよかった。本当に今シーズンの活躍は彼女なしでは絶対にあり得なかったので、そこは感謝したいなと思います」

流れが変わった2月の大型トレード

 こうして様々な要素が重なりあったことで、渡邊のキャリア最高のシーズンは可能になった。繰り返しになるが、残念なのは後半戦、プレーオフでは出場機会が激減してしまったこと。渡邊がシーズン終了時に会心の表情を浮かべるまでには至らなかったのは、2月中旬以降は思うようなプレーができなかったから。いや、思い通りに暴れられる機会が得られなかったという方が正確に違いない。

 2月のトレード期限にデュラント、アービングを放出して新体制に入ったネッツは、代わりにチームに加わったスペンサー・ディンウィディー、ミケル・ブリッジス、キャム・ジョンソンがすべてスタメン入り。ウイングプレイヤーが急増したこと、同時期に激しい腰痛を抱えていたこともあって、中盤以降の渡邊は存在感が薄れた。依然としてチーム最高の3P成功率を誇りながら、それでも冷遇され、渡邊自身も珍しくフラストレーションを隠さない時期もあった。

 しかしーーこれまで様々な逆境をはね除けて来た渡邊にとって、これもまた次へのステップという見方もできるのだろう。充実の時間と、その後の落胆を経験し、自分に足りないもの、目指さなければいけない地点は改めて見えたはずだ。

【次ページ】 「まだチームメイトに依存する部分がある」

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