ぶら野球BACK NUMBER

「WBC決勝、じつは“巨人組の逆襲”だった」あの岡本和真が吠え、大勢は最多登板、戸郷翔征は第二先発…Bクラス・原巨人の再建はここから始まる 

text by

中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2023/03/25 17:00

「WBC決勝、じつは“巨人組の逆襲”だった」あの岡本和真が吠え、大勢は最多登板、戸郷翔征は第二先発…Bクラス・原巨人の再建はここから始まる<Number Web> photograph by JIJI PRESS

アメリカとの決勝戦、4回にチーム3点目となる2号ソロホームラン。大声を出し、笑顔を見せた岡本和真

 平成から令和へ時代は変わり、12球団が限りなくフラットになり、新人選手が入団会見で将来的なメジャー挑戦の夢を語るなど球界事情も大きく変わった。そんなポスト地上波時代を生きる巨人の選手たちだが、今回のWBCでは岡本和真(26歳)、戸郷翔征(22歳)、大勢(23歳)、大城卓三(30歳)の4名が代表入りした。それぞれ当初はそれほど目立つポジションではなく、巨人の若き四番・岡本でさえ、代表合宿で本職の内野以外に左翼守備練習にも就くなど、決してレギュラーが確約された状況ではなかった。

 だが、打撃好調を維持した背番号25は、「6番一塁」で先発出場した準々決勝のイタリア戦で3ランを含む5打点の活躍。アメリカとの決勝戦でも、4回に左中間へ貴重な追加点となる2号ソロを放った。22年シーズンは不振から四番を外れるなど苦しみながらも、30本塁打に到達。5年連続30発は巨人では王貞治、松井秀喜に次いで3人目の快挙だが、どこか淡々とプレーするスタイルで、例えば感情を前面に出してナインを鼓舞し、ヤクルトを連覇に導いた村上宗隆の姿と比較すると、ファンも歯がゆさを感じなかったと言えば嘘になる。だが、このWBCでの岡本は、グラウンド上で感情を解放して、ホームランを放てば咆哮しながらナインとハイタッチを交わし、球場やベンチを盛り上げた。それはまさに巨人の新主将として、所属チームで求められる姿でもあった。

大勢は“最多登板で無失点だった”

 投手陣でも、昨季37セーブでセ・リーグ新人王に輝いた大勢は、準決勝のメキシコ戦で1点ビハインドの9回に登板すると、この回からマスクを被った大城との巨人バッテリーで1イニングを無失点で切り抜け、自チームのサヨナラ勝ちを呼び込んだ。さらに決勝戦では、8回のダルビッシュ有と9回の大谷翔平へ繋ぐ“栗山劇場”の7回を任せられた。日本中が期待する夢の継投も自分が打たれたら企画倒れという、とてつもないプレッシャーの中でマウンドへ。四球と安打で無死一、二塁のピンチを招くも、2番トラウトを152キロの直球で詰まらせ浅い右飛に、3番ゴールドシュミットもテンポよく追い込み3球目のフォークで遊ゴロ併殺打に仕留め、バトンを繋いだ。

 背番号15はこの大会ではチーム最多の4試合に登板して無失点と、侍ジャパンのブルペンを支えた陰の功労者でもあった。話題のペッパーミルパフォーマンスではなく、塩を振りかける謎ムーブも話題になり、「#大勢は塩」グッズが巨人の球団公式グッズとして発売されるなど、飄々とマイペースに剛速球を投げる姿には、23歳にして頼もしさすら感じさせた。

【次ページ】 戸郷翔征は第二先発で“アメリカ打線を沈黙させた”

BACK 1 2 3 NEXT
大谷翔平
ラーズ・ヌートバー
ダルビッシュ有
松坂大輔
栗山英樹
岡本和真
読売ジャイアンツ
村上宗隆
坂本勇人
大勢
戸郷翔征
大城卓三
松井秀喜
高橋由伸
吉田正尚

プロ野球の前後の記事

ページトップ