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「出汁をドイツに持ち込みました」板倉滉のW杯直前復帰を支えたシェフの“隠し味と栄養”「池田さんに頼んで良かったなと思うのは…」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byChristian Verheyen/Getty Images

posted2023/02/17 11:02

「出汁をドイツに持ち込みました」板倉滉のW杯直前復帰を支えたシェフの“隠し味と栄養”「池田さんに頼んで良かったなと思うのは…」<Number Web> photograph by Christian Verheyen/Getty Images

日本代表DF板倉滉の素顔を、元サッカー選手で専属シェフの池田晃太さんに教えてもらった

「食事面でいえば苦手な朝も早く起きて(ケガからの回復のために)しっかり朝食を摂っていましたし、クラブの施設だけではなく、デュッセルドルフにあるJFA(日本サッカー協会)の施設にも行ってリハビリしていましたし……。ケガをしている個所"以外"の筋力トレーニングもしていたようなんですよね」

 あのケガは板倉がプロサッカー選手になってから初めての大きなものだったため、周囲は心配していたが、板倉が彼らに宣言したのはこんなことだった。

「オレは前よりも確実に強くなった状態で復帰するから!」

池田さんにシェフを頼んで良かったなと思うのは…

 負傷後、実戦で90分プレーする機会のないままで迎えたカタールW杯のパフォーマンスを見れば、その言葉に嘘はなかったことは明らかだ。移籍専門サイト「Transfermarkt」による市場評価額では、およそ1年半前にドイツへやって来たときの約4倍にまで膨れ上がっている。彼の代表でのパフォーマンスを見た日本人からだけではなく、ヨーロッパの目利きたちにも価値のある選手としてリスペクトされているのだ。だから、池田は、心にこう誓う。

「僕にできることはそんなに大きなものではないですけど、板倉選手にはこれから少しでも上のレベルで戦ってもらえるように、そして、高いレベルで長くサッカーを楽しんでもえるように、サポートしていきたいですね」

 Jリーガーになるという目標には届かなかったものの、「やりたいことを仕事にする」という夢を池田は実現させた。そのセカンドキャリアがどこまで進化していくのかは、誰も知らない。この先、全てが順風満帆に行くかどうかはわからないし、荒波にもまれる時期もあるかもしれない。

 ただ、ここに来るまでに、置かれた場所で自分にできる最大限の努力をして、かかわってくれた人たちに少しでも恩返しをしたいと頑張ってきたのが池田なのだ。これから先に苦境に立たされても、きっと自らを奮い立たせるだろう。板倉からかけてもらって嬉しかったという、こんな言葉を思い出して。

「僕が池田さんにシェフを頼んで良かったなと思うのは、『僕と一緒になって戦ってくれている』感じがするところなんですよ!」

 池田の戦いは続く。板倉の戦いがこれから先に続いていくのと同じように。

 <#1,#2からつづく>

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「クビになったらどうなるんだろう」“J4、J5級”選手が「DF板倉滉の専属シェフ」に転身…29歳引退後に実った“4つの学び”とは

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