「今年は、トップ下とボランチでうまく両立できていると思う。僕自身はずっと前から『ボランチもやりたい』と言っていて、それが叶っている。自分としては、すごく良いシーズンを送れていると思います。

　チームとして相手を押し込めれば、ボランチでもシュートを打つチャンスが出てくると思う。やっぱり自分は足がね、速いわけじゃないので……うちのコロ・ムアニやリンドストロームみたいに（スピードで）裏に抜けて、というのが自分にはできない。“少し後ろから遅れて入っていく”っていうのが、自分には合っているのかなと思います」

結果的に代表活動につながっていけばいいかなと

　トップ下だけでなく、ボランチでも優れた適性を見せていることは日本代表にとっても明るい材料と言えるだろう。

　ここに、興味深いデータがある。

　4-2で快勝した第14節ホッフェンハイム戦で、鎌田は相手チームから最もプレッシングを受けた選手だったが、実に90％の確率でプレスをかいくぐり、ボールを的確につないで攻撃につなげていたのだ。

　カタール・ワールドカップのグループリーグで戦うドイツ、コスタリカ、スペインは、日本がボールを持った際、鋭く強力なプレスを仕掛けてくるだろう。ボールを奪われないようにロングボールで逃げることもできるが、それだけでは厳しい。ボールを奪いに来る相手に対し、鎌田を中心にうまくいなし、攻撃へと移行する勇気があれば、日本のビッグチャンスにつなげることができる。

「もちろん、W杯でプレーしたいとは思っています。でも、基本的にはクラブでの活動が評価されるし大事だと思うので、クラブでの結果や活躍を最優先に考えて、結果的に代表活動につながっていけばいいかなと思います」

　鎌田は以前、代表についてこんなふうに語っていた。その言葉通り、フランクフルトで積み重ねた計り知れない経験と実績が、いま、鎌田を日本代表でも欠かせない存在へ押し上げている。

9月シリーズ、アメリカ戦でのゴールシーン　©Kiichi Matsumoto

　鎌田がいればなんとかなる。

　そんな気にさせてくれる男は、カタールの地でどんなプレーを見せてくれるのか――。

＜三笘編から続く＞

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。