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他サポが名物を“密輸”することも…「カシマサッカースタジアムの食べ物がうますぎる」のはナゼ? アントラーズの担当者を直撃 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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posted2022/09/30 11:02

他サポが名物を“密輸”することも…「カシマサッカースタジアムの食べ物がうますぎる」のはナゼ? アントラーズの担当者を直撃<Number Web> photograph by Masashi Hara

鹿島アントラーズの本拠地・カシマサッカースタジアムのコンコースの様子。「JリーグNo.1」とも評される同地のスタグルの秘密に迫った

カシマのスタグルが充実していった経緯とは?

 各スポーツチームが生観戦への付加価値を高めている現状よりも一足早く、スタグルの充実ぶりが評判になったのがJリーグの鹿島アントラーズだ。

 しかも、アントラーズのホームである茨城県立カシマサッカースタジアムは、場外のキッチンカーではなく、スタジアム内の店舗による充実ぶりが大きな特徴になっている。

 アントラーズはどのようにスタグルを充実させていったのだろうか。同クラブの施設管理チームのリーダーであり、スタジアムの副所長を務める萩原智行さんは、「2006年にアントラーズがスタジアムの指定管理者になったことが大きい」と語る。

「(内側の)売店というのはスタジアムに紐づいているものですから、指定管理者になったことで、売店さんとすべての面で直接やりとりすることができるようになりました」

 もともと地元の事業者が多く入っていたが、そのタイミングでホームタウン5市(鹿嶋、神栖、潮来、鉾田、行方)の商工会による紹介制度を導入。これが方向性を決定的なものにした。

 各市に店舗数が割り振られ、それぞれの商工会に登録している事業者が推薦を受け、アントラーズがそれを承認することでスタジアムへの出店が正式決定する。結果として、現在、カシマサッカースタジアムには大手チェーンの売店が存在していない。

 出店に際し、アントラーズ側から味やメニュー、価格についての要求をすることはないという。「商工会の推薦という時点で、クオリティと健全性は担保されている」ことに加えて、なにより「売店さん同士の自由な切磋琢磨」がより良いスタジアムを作ることに繋がるからだ。販売窓口の数やオペレーション方法、新メニューの販売や価格とボリュームのバランスなど、お店の自主性による工夫こそが何よりも大事だという。

 もちろん、守らなければならないルールは存在する。たとえば、スポンサー企業の同業他社の商品を販売しないことや、搬入時間やスタッフの数に関する規定。あるいは肉や魚は加熱調理が必須であるということや、賞味・消費期限の厳守、といった食の安全についてのもの。また待機列の作り方のような、スタジアムの安全性を確保することも求められる。

【次ページ】 「焼きハマグリ」はNG? スタグルならではの配慮

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