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プロ入り3年目の大谷翔平…交流戦で戦った“セ・リーグ強打者たち”の声「メジャーリーガーになる人」「ダルビッシュに似ているところが…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/09/04 06:01
プロ3年目の大谷翔平に対するセ・リーグ打者たちの評価とは?(写真は2016年日本シリーズ)
「変化球の軌道をイメージしながら、『センターから逆方向に。真っ直ぐはファウルでもいい』くらいの感じで打席に入っていたら、結果は違っていたのかも……」
ふうっとため息をつき、大島は続ける。
「今年もう1回、大谷君と対戦したかったです。来年以降も対戦できるかわからないし、そのうちメジャーリーガーになる人だから。マー君(田中将大)がメジャーに行ったのは25歳ですよね。大谷君は今年21歳……まだまだ進化しちゃいますね」
大谷は1年目から今年の中日戦まで、交流戦5勝と一度も負けていない。対戦機会が少ないセ・リーグの打者たちは、大谷のさらなる成長ぶりに驚くしかなかった。
福留孝介「大したピッチャーだなって」
その大谷が初めて交流戦で敗れたのが、6月6日の阪神戦だった。
4回に失った1点が響き、7回11奪三振と好投しながら黒星を喫した。ただ大谷は、「自分の投球ができなかったわけじゃないんで」と出来映えには及第点をつけていた。
この試合が初対決となった福留孝介は、「そうでしょうね」と同調する。
「160kmのイメージがあるなかで、変化球を自分でしっかり操っていましたから。大したピッチャーだなって思いました」
そう認めつつも、福留が大谷を強く意識することはなかった。
「自分には変化球ばかりでストレートはほとんど投げてこなかったから。そもそも僕は、対戦が少ないピッチャーの場合は事前にはあまりイメージを持たない。今回も、打席のなかで『こういうボールを投げるんだ』と確認して対応するだけでしたよ」
福留がそう心がけるのは、メジャーリーグ時代に多くの投手と対戦してきたからだ。
極端に言えば、シーズン中に毎日違う投手と対峙しなければならない。だから、ジャイアンツのティム・リンスカム、タイガースのジャスティン・バーランダーといったサイ・ヤング賞投手たちとの対戦でも、先入観を持たず自分の感覚を信じた。