そんな後輩たちは、世界選手権のファイナルの舞台に立つ先輩の姿を目の当たりにして興奮していたという。大舞台で多くの観客を魅了していた山口の姿は、彼女たちにとっても大きな刺激となった。

「去年茜と一緒に練習した現2年生の3人も観戦したんですが、もちろん茜が強いことは分かっているけれど、世界選手権のような大舞台で戦っているのが自分たちの先輩で、そういう人と私たちは普通に会話していて、シャトルを打っていたんだと驚いていました（笑）。いつもは『茜先輩』と呼んでいる彼女たちですが、この時ばかりは『茜ちゃん！』と熱く応援していましたね」

2022年世界選手権　©︎Getty Images

　小さな体で懸命にシャトルを追いかけ粘り強くタフに戦う姿から感じるひたむきさ。見るものをワクワクさせるような多彩なショットと相手の意表を突くようなプレー。その姿にはおごりも慢心もない。コツコツと積み重ねてきた日々。世界のトップ選手になっても変わらない姿勢に、「茜ちゃん」と親しまれる理由が見えるような気がする。

「茜もきっとそういった応援に支えられていると感じているはずです。だからこそ、世界選手権でもあれほどいい表情になっていたんだと思います」（小林）

　世界選手権で金メダルを獲得した後、山口はこんな言葉を残した。

「試合が終わって、観客席を見た時にすごくうれしかったですし、こうやって皆さんに喜んでもらえたりするのが、うれしいことだなと思いました」

　多くの人々の応援を力に、彼女はこれからもコートで躍動し続ける。

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