守護神・大勢につなぐ“8回の男”平内龍太がカギを握る？ 巨人・原監督の我慢強い起用の裏にある“勝利の方程式”への道筋

「またか……」

　8月12日の巨人対広島戦。5対4と巨人が1点をリードして8回の広島の攻撃を迎えたときだ。

　ベンチから出てきた巨人・原辰徳監督が7回を3人で締めた左腕・高梨雄平投手の交代を告げる。東京ドームに場内アナウンスが告げた「ピッチャー、平内」のコールに、嫌な予感がして思わず吐いてしまったのが冒頭の言葉だった。

　だが、そんな嫌な予感は見事に的中してしまう。

　平内龍太投手は先頭のライアン・マクブルーム内野手に甘く入ったカーブを右前に弾き返され、いきなり走者を背負ってしまう。そして続く西川龍馬外野手に149キロのストレートを左翼線に二塁打されて同点に追いつかれる。さらに内野ゴロの1死三塁から小園海斗内野手に初球をあっさり打ち上げられて、これが決勝犠飛となった。

　8月5日からのヤクルト戦に3連勝、その勢いを駆って、中日にも2勝1敗と勝ち越して迎えた広島3連戦の初戦だった。しかも序盤に丸佳浩外野手の2ラン、中田翔内野手の2ランが飛び出して勝ちパターンの中で迎えた終盤だ。

　この試合に勝てば、あるいはそのままいい流れを掴んでチーム状態を上げていけるかもしれない。落ちるところまで落ちた感のある巨人だが、それでもまだ終盤戦の反撃に一縷の望みを託す分岐点となる試合だったはずである。

なぜ、平内だったのか…

　そんな希望も無残に逆転負けで断ち切られた。

「なぜ平内だったのか……」

　読み返すとその日のスコアブックの端には、そう記されていた。

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