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「ベンゲル仕込みの采配で熱い人」勝負師・大岩剛監督のパリ世代に感じる“サッカーIQ” 日韓戦は「経験を積みに来たわけではない」 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2022/06/12 17:01

「ベンゲル仕込みの采配で熱い人」勝負師・大岩剛監督のパリ世代に感じる“サッカーIQ” 日韓戦は「経験を積みに来たわけではない」<Number Web> photograph by AFC

U-21日本代表を率いる大岩剛監督。現役時代に積み上げたキャリアを指導者としてどう生かすか

 その代表格が、鈴木唯人、松岡大起、藤田譲瑠チマ、松木玖生、山本理仁といった中盤中央の選手たち。彼らはいずれも所属クラブでポジショナルプレーに触れ、どこに立てば相手が嫌がり、味方を優位にするのかを理解している。大岩監督が言う。

「ミーティングで伝えただけで、理解して実践できる選手が多い。とてもレベルが高いと思います」

 UAE戦やサウジアラビア戦で見えた戦術的なトライとしては、ニアゾーンの攻略がある。インサイドハーフやトップ下の鈴木唯人が、相手サイドバックとセンターバックの裏に走り込む形だ。そこには、相手センターバックのひとりを引っ張り出して、センターフォワードの細谷をフリーにさせる狙いが見える。右サイドバックの内野貴史が明かす。

「コンセプトとして、深い位置を取れるなら、ポケットに走り込むことはミーティングで言われています」

国際経験に乏しい世代だが、雰囲気はすこぶるいい

 コロナ禍によってこの2年半、国際経験に乏しい世代別代表でありながら、チームの雰囲気もすこぶるいい。2戦目が終わった時点で6人の選手に出番がなかったが、控えに回った選手たちの練習も活気があって明るい。

 そうした雰囲気を象徴するのがGKチームだ。今回招集されているのは、浦和レッズで西川周作とポジションを争う鈴木彩艶、ベンフィカで研鑽を積む小久保玲央ブライアン、柏レイソルでJ1のピッチに立っている佐々木雅士と実力者ばかり。初戦、第2戦はともに鈴木彩艶が起用された。

 だが、それでもふたりは悔しい気持ちをポジティブな方向に転換する。

「彩艶とブライアンはふたりともすごいGK。彩艶が昨日の試合(UAE戦)でチームを勝たせるプレーをしていたのは刺激になる。それに負けていられない。それは今日の練習でも明日の練習でも。もっともっと自分のプレーを示していきたい」

 佐々木が力強く語れば、小久保も胸を張る。

「彩艶も雅士も100%でやっている。自分も100%でやっているので、ここまで2試合彩艶が出ているのは当然悔しい気持ちもありますが、100%でトレーニングしているからこそすぐリセットできて、『彩艶、頑張ってこい!』っていうのを雅士と一緒にできている。本当にいい関係だなと思います」

タジキスタン戦での先発10人入れ替えと興味深い采配

 そんな小久保に出場機会が巡ってきたのが、タジキスタンとの第3戦だった。この時点でグループステージ突破は決まっていなかったが、決勝まで6試合戦うことを見据えた大岩監督はスタメン10人を入れ替えたのだ。

【次ページ】 「ベンゲル仕込みです」と涼しい笑顔

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