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1番人気のGI連敗記録はワーストタイに…“根性娘”ソングラインを安田記念で初戴冠に導いた池添謙一の「絶妙な位置取り」とは?

posted2022/06/06 11:06

 
1番人気のGI連敗記録はワーストタイに…“根性娘”ソングラインを安田記念で初戴冠に導いた池添謙一の「絶妙な位置取り」とは?<Number Web> photograph by Photostud

池添謙一の手綱に導かれ、安田記念を制したソングライン。海外遠征を経て心身ともに逞しく成長した

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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 大舞台では悔しいレースがつづいた根性娘が、大外から思う存分ストライドを伸ばし、初めての栄冠を手中にした。

 東京での5週連続GIを締めくくる第72回安田記念(6月5日、東京芝1600m、3歳以上GI)で、池添謙一が騎乗した4番人気のソングライン(牝4歳、父キズナ、美浦・林徹厩舎)が優勝。デビュー11戦目で嬉しいGI初制覇を遂げた。

 なお、1番人気のイルーシヴパンサーは8着に敗れ、今年のGIでの1番人気は、年明けからのワースト記録をまたも更新する11連敗となった。

「何とかこの馬でGIタイトルを」池添謙一の執念

 昨年の桜花賞では暴走した他馬に進路をカットされて競馬にならず、15着。NHKマイルカップでは直線で抜け出し、勝ったと思ったところで差されて2着。そして前走のヴィクトリアマイルでは、道中躓く局面もあって、5着に敗れていた。

 そこから中2週という厳しいローテーションでありながら、ソングラインは見事に力を出し切った。

 3、4コーナー中間地点で池添が促すと、抜群の手応えで外からサリオスに並びかけ、直線に向いた。

「前回、自分自身ふがいないレースをしてしまったので、今日は自信を持って、4コーナー手前からこの馬の末脚を信じ、外を回して動かして行きました」

 ラスト300m付近で池添は右鞭を入れ、ゴーサインを出した。

 ソングラインは力強く完歩を伸ばし、内から伸びてきたシュネルマイスターを首差で抑え、先頭でゴールを駆け抜けた。

「何とかこの馬でGIタイトルをと思っていました。厩舎の期待に応えたい一心でした。厩舎も攻めて仕上げ、それにソングラインがよく耐えて、頑張ってくれました。最後、ぐいっとひと伸びしてくれたので、勝ったと思いました」

 馬とともに課題を克服するスタイルを武器とする、池添の手綱が冴えわたった。

【次ページ】 勝敗を分けた向正面でのポジション取り

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ソングライン
シュネルマイスター
サリオス
セリフォス
イルーシヴパンサー
池添謙一
クリストフ・ルメール
ダミアン・レーン
藤岡佑介
田辺裕信

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