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青学大・駒大も抑えて“國學院大の1年生”が学生ハーフで優勝…平林清澄は“MGC史上初の現役学生ランナー”になれるか? 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byMiki Fukano

posted2022/03/24 11:01

青学大・駒大も抑えて“國學院大の1年生”が学生ハーフで優勝…平林清澄は“MGC史上初の現役学生ランナー”になれるか?<Number Web> photograph by Miki Fukano

大学入学後に一気に頭角を現し、出雲・全日本・箱根と三大駅伝の全てで安定した活躍を見せてきた國學院大の平林。3月13日の日本学生ハーフマラソンでは見事に学生日本一に輝いた

 東京五輪の選考レースだった2019年のMGCは、堀尾謙介(トヨタ自動車)が中央大4年時に出場資格を獲得しているが、レースの開催時は社会人1年目だった。平林が次回のMGC出場を決めれば、歴史が浅い大会とはいえ、現役学生ランナーが出場するのは初めてのことになる。

 大学2年生で挑むメジャーマラソンという観点で過去を遡ると、マラソン界のレジェンド・瀬古利彦は、早大2年時の1977年に福岡国際マラソンで日本人トップの5位に入っている。そして、翌年には優勝を飾った。

 また、社会人を経て山梨学院大に入学した中村祐二は、1995年のびわ湖毎日マラソンで、初マラソンで優勝を果たし、同年世界陸上選手権イエテボリ大会に出場した。

 近年では下田裕太(青山学院大→GMOアスリーツ)が、2016年の東京マラソンで10代の日本最高記録を塗り替えて、日本人2位となった(リオ五輪の選考レースだったが、代表には選出されず)。

 はたして平林は、初マラソンでどんな結果を残すのか――。

 前田監督の言葉を信じるならば、平林がMGCの出場権を獲得できる可能性は十分にあるだろう。この1年の成長曲線を描き続けることができれば、MGCの舞台でも、面白い存在になるのではないだろうか。

 ただ、その先にあるパリ五輪出場となると、現実的にはなかなか厳しい。

「現役学生ランナーがマラソンで五輪出場」が難しい理由

 昨夏の東京五輪には三浦龍司(順天堂大)が3000m障害で7位入賞の活躍を見せたが、現役箱根ランナーがマラソンで五輪に出場したのは1956年メルボルン五輪の川島義明(日大OB)まで遡らなければならない。それに、MGCでは東京五輪6位入賞の大迫傑、日本記録保持者の鈴木健吾といった実力者に割って入らなければならない上に、國學院大のレジェンドOBである土方や浦野もライバルとなる。

 いずれにせよ、箱根駅伝のおよそ倍の距離になるマラソンで、学生ランナーが結果を出すのは決して簡単なことではないのは重々承知している。それでも、高い壁を乗り越えて、現役箱根ランナーがマラソンで五輪の舞台に立つのを見てみたい。

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