「そう。少ないけど、ピンチはあった。でも、中国戦と違って、この試合では誰かがカバーに入っていた。だから失点にはならなかった。フットボールでは、いくつかのミスが続いて失点するもの。90分間、全くミスをしないのはほとんど不可能だ。でも、誰かが小さなミスをしても、別の選手がカバーすることが大事。それがチームで守るということだから」

伊東は凄いが、攻撃のオプションはもっと……

――なるほど。この試合のマン・オブ・ザ・マッチ（MOM）は？

「やっぱり伊東だね。彼が日本の攻撃の大半の役割を担っている。ただ、何度も言っているように、もっと攻撃のオプションがあってしかるべき。彼に頼りすぎるのはよくない。そして、田中が素晴らしかった。守備では危険なところに駆け付けてピンチの芽を摘み取り、攻撃でも的確なパスやドリブル突破でチャンスを作った。陰のMOMだね」

――ブラジルのテレビの解説者も「攻守両面で日本がサウジアラビアを圧倒した」と評価し、とりわけ日本の後半のダイレクトの速いパス回しを激賞していました。

「そうだね。非常にコレクティブにプレーできていた」

――日本の今後の課題は？

「この試合で途中出場した中山、前田（大然）、浅野（拓磨）らのプレー内容に不満がある。チームがレベルアップするには、激しい競争が不可欠だ。監督が『次の試合で誰を先発させようか』と悩むくらいでなければ。その点で、彼らにもっと頑張ってほしかった。また、左サイドの攻撃にはまだ改善の余地がある。

スピードは一級品だけに、浅野は数少ないチャンスを結果で示したい　©Takuya Sugiyama/JMPA

　今後、三笘（薫）が故障から復帰してクラブで好調なら、3月のオーストラリア戦では彼が左のアタッカーとして重要なオプションとなるんじゃないかな。それに、試合開始早々、相手のCBがイエローカードをもらったのだから、彼を狙い撃ちする狡猾さがあってもよかった。勝負事では、相手が嫌がることをやらないとね」

――W杯出場を目指すライバルに快勝したとはいえ、まだまだ向上の余地があるということですね。ありがとうございました。＜中国戦編から続く＞

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