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冨安健洋はプレミア最強マンCにとって「極めて厄介な存在」だった… 名将ペップも認めたアーセナルの成長とは 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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posted2022/01/06 17:04

冨安健洋はプレミア最強マンCにとって「極めて厄介な存在」だった… 名将ペップも認めたアーセナルの成長とは<Number Web> photograph by Getty Images

首位を走るシティ相手にハイパフォーマンスを見せた冨安。改めて不可欠な存在であることを証明した

ペップも認めるアーセナルの変化

 試合後のジョゼップ・グアルディオラ監督はアーセナルの出来の良さを認め、次のように話した。

「アーセナルの方が良かった。単純に、彼らのほうが良かった。我々は3日前に試合をこなし、エネルギーが足りなかった。3日前にロンドンのブレントフォードで試合を行い、一度マンチェスターに戻り、今日の試合のために再びロンドンにやって来た。過密日程でクオリティを維持できず、非常に難しい試合だった。今日の試合はPKもあったし、我々にはオウンゴールの可能性もあった。退場者も出た。通常、なぜこのようなことが起きたのかを分析するが、今日のような試合はまったく予測や説明がつかない。そんな試合だったと思う」

 試合前からアーセナルに警戒感を示していたのが、このグアルディオラだった。試合前日の会見で、2年前まで自身の右腕としてシティのアシスタントコーチを務めたアルテタを褒めながら、次のように語っていた。

「今季のアーセナルは、過去4~5年で最強のチームだろう。それは間違いない。現在、彼らは4位につけている。選手たちがピッチで見せているエネルギー、そしてミケル(アルテタ)のアイディアが随所に確認できるが、これらは時間をかけて強化しなければ備えることができない。ミケルは、アーセナルを変えた。これまでクラブに根付いていた悪習と戦ってきたと思うが、彼は一歩一歩、チームを改善してきた。選手たちを見ても、若い有能な選手が数多くいる。最終ラインの4バックは同じメンバーで戦い、安定もしている。フィジカルの強さも、スピードも備えている。彼らは今、プレミアリーグでトップクラスのチームに生まれ変わった」

冨安はシティにとっても厄介な存在だった

 グアルディオラ監督が「非常に厳しい試合になる」と予想していた通り、後半アディショナルタイムまで1-1で推移する拮抗した展開となった。

 その中に、冨安がいた。スターリングやデブライネをほぼ完璧に抑え、鋭い攻撃参加でチームに躍動感をもたらした。シティ陣営からすれば、日本代表DFは極めて厄介な存在だったに違いない。特にスターリングに決定的な仕事を最後までさせなかったのは、冨安が加速度的に成長を続けている何よりの証だろう。

 冨安加入後のアーセナルは最下位から脱し、CL圏内の4位でシーズンを折り返した。そして冨安自身も、「プレミアリーグで通用するか」「サイドバックではいずれ厳しくなるのでは」といった加入当初の懸念をとうに払拭し、その先のステップ、つまり「いかにプレミアリーグ屈指のDFに進化していくか」とのレベルにまで成長を遂げている。

 シティ戦での好パフォーマンスを目の当たりにし、名門復活を託された若きアーセナルの一翼として、冨安の進化はまだまだ続いていくと確信した。

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